加藤綾子 報道番組に感じる不安と成功法則の切り替え時
「ごめんなさーい」って、いい社会人が言うのは違和感あるなあ。加藤綾子がめざましテレビに出ていた頃、占いコーナーでの「お約束」になっていた発言。どうやら最下位の星座の人の気分が悪くならないように、という配慮で始まったせりふとのこと。が、聞くたび、「この人が謝ることじゃないのに」と思う一方、「ホントに気の毒とは別に思ってないだろうな」という意地悪な気持ちもあったものだ。
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NG大賞などの特番で、ニュースの読み間違いをした女子アナの素の姿をふと思い出す。若手の女子アナはほぼ、「すみません」でも「申し訳ありません」でもなく、「ごめんなさい」と口をついて出るのだ。事実を伝えるニュースで間違ったことを言ってしまっても、占いで最下位の星座の人に気遣いをするのも同じ言葉で収まってしまう。「ごめんなさーい」、それが万能の言葉として通用する企業文化なのだな、と感じた。
この、場を丸く収める方法に長けている女子アナが加藤綾子である。というか、人気の出る女子アナは、その場での自分のキャラややるべきことを見極めるのが上手い。彼女が業界きってのホステスキャラと言われるのは、その場の空気を読んで一番言ってほしいこと、やってほしいことを即座につかむのが群を抜いて得意だからだろう。何より、さんまや志村けんなど大御所男性芸能人と相性がいいのも、彼らは相手に求める役割がはっきりしているからである。可愛くて、明るくて、余計なことは言わない、ものわかりのいい女の子。
その彼女が、報道番組に打って出る。古巣のフジテレビの、主婦層が主な視聴者層の夕方番組。予想通り、不可解な人事だと批判を浴びている。報道出身でもないし、主婦層にウケがいい訳でもない。しかもすでに辞めた女子アナなんて、と。彼女自身は知ってか知らずか、いつもの笑顔で意気込みを語っていた。「雰囲気だとか、どういう風に見ている方と時間を共有できるか、心地よさみたいなところを作り上げていくことが第一の私の仕事」と。やっぱり、場を丸く収めるという自分の得意分野を足場にしたいんだろうな、と感じるコメントである。ちなみに加藤と同期の椿原慶子は夜ニュース就任当時、「真摯にニュースと向き合っていかなくてはならない。取材に出ることが多かったので現場の目線を大事に」と語っていた。受信側を気にかける加藤と、発信側の矜持を述べる椿原は対照的だった。
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