「東大合格者」2019高校別ランキングベスト20 合格者激減の“名門”も…
100人超から1人に
ところで、神奈川の私立といえば、90年代には桐蔭学園がたびたび100人を超える東大合格者を送り出していたが、今年は推薦の1名のみで、一般入試の合格者はなんとゼロだ。
「このところ中学と高校ともに、あまり優秀でない生徒を入学させています。一時は毎年、千数百人の卒業生を送り出していましたが、少子化が進み、親が小規模な学校でのキメ細かい指導を好むようになり、レベルが落ちてしまった」
と、大学通信常務取締役の安田賢治氏。もはや国破れて山河もなし、とでもいうべき状況で、桐蔭から早稲田に進んだデーモン閣下、慶應に進んだ巨人前監督の高橋由伸氏、そして聖マリアンナ医科大に進んだ西川史子女史らの嘆きの声が聞こえてくるのである。
聖光学院と入れ替わるように合格者を減らしたのが、進学校の代名詞、灘だ。73人は、65年の66人以来の少ない数字だが、一方で最難関の理科3類(医学部進学コース)に20人、京大医学部に26人など、実績は驚異的でもあるのだ。
「今年は、医学部志向が強かった面はある」
と言うのは同校の進路担当で、安田氏が補う。
「今年の灘は卒業生219人のうち、文系が40人を切って、理系の多くが医学部をめざしたんです。関西では、投資して回収という意識か、医学部志向が強い」
そして、経済学部進学コースである文科2類の合格者はゼロである。その文2だが、今年は文系の最高峰とされる文科1類の最低点を上回っていた。
「東大が最低点を公表するようになった01年以降、初めて。官僚が叩かれ、政治家志向も低い状況下で、優秀層が経済学部に流れているのでしょう」
と話すのは駿台の石原氏だが、灘はわれ関せず。そういえば、オウム真理教の元幹部の石川公一氏も、灘から東大理科3類に進学していた。むろん、だれも彼の背中を追っているわけではあるまいが。
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