AKIRA主演「この道」が大コケ それでもEXILEが映画製作をやめないワケ

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朝日新聞は大宣伝

 朝日新聞には、公開の1週間前となる1月4日夕刊に紙面の3分の1を使った広告、翌5日朝刊には瀬戸内寂聴さんと出演陣の対談を交えた全面広告、公開当日の11日には監督インタビューの記事も掲載されていた。映画宣伝の関係者が言う。

「朝日新聞も、この作品の製作委員会に参加していました。他にも、電通、小学館、TBSサービス、TBSラジオ、ローソン など大手がズラリ、そこそこ宣伝はされていたと思いますよ。ただ、派手に宣伝するような内容でもないので、宣伝の担当者も迷ったかもしれません。それでも文化事業的な色合いが強い作品だからこそ、お堅い企業も製作委員会に参加したということでしょう。LDHにとっては、興行的には失敗でも、リスクを分散できたはずです」

 失敗続きでも、LDHは今後も本格的に映画産業に参入するつもりのようだ。

「今回、プロデューサーを務めている間瀬泰宏氏は、TBSで映画『チーム・バチスタの栄光』や『嫌われ松子の一生』、『おくりびと』のエグゼクティブプロデューサーを務めた人物ですが、現在はLDH JAPANのプロデューサーとして迎えられたようです。また、自社製作のみならず、海外作品の買い付け、配給まで始めています。4月にはLDHアーティストが出演していない、米英合作のコメディ映画『僕たちのラストステージ』も公開されます。ただ、これまで経験のない海外作品を買い付けて配給するとなると、素人には興行的に難しいでしょうね。かつて吉本興業も、洋画配給に乗り出すと宣言。マイケル・ファスベンダー主演の『マクベス』(2015年:英・米・仏映画)を配給したものの、1本で終わっていますから」(同・映画宣伝関係者)

 なぜ、そこまで映画にこだわるのだろうか。先の業界誌記者は言う。

「節税対策なんて陰口も聞かれますが、CDが売れない今、上手くいけば大きな儲けに繋がるからでしょう。映画も衰退産業とは言われていますが、俳優が映画に出演してヒットしたときの効果や話題性は、いまだにテレビよりも大きいのです。CM出演にも繋がるし、ドラマに出演するときにも出演料がアップする。なにより、ネット時代となった今は、SNSの口コミ次第で大ヒットも可能になった。『カメ止め』や『翔んで埼玉』のように話題になれば、爆発的ヒットに繋がる。そうなれば、劇場公開のみならずネット配信にも繋がり、2次使用、3次使用の可能性も出て来るわけです」

 LDHの戦略は、果たして吉と出るか凶と出るか――。

週刊新潮WEB取材班

2019年3月25日掲載

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