長寿研究から分かった「QOL」を上げるポイント――伊サルデーニャ島の暮らしに学ぶ
「歩く」
三つ目の大事なポイントは「ウォーキング」です。サルデーニャ島の老人はとにかくよく歩くことで知られ、1日に平均8キロの距離を徒歩で移動します。歩数でいえばおよそ1万歩にあたり、これは日本の高齢者の平均にくらべて2倍の運動量です。
最近はウォーキングの科学的な研究も進んでおり、なかでも信頼度が高いのは14年にWHOが行った調査です。過去の研究から28万人分ものデータを集めた労作で、その結果は次のようなものでした。
・週に150分のウォーキングで、運動不足の人よりも全死亡率が11%減る
がんばってランニングや筋トレにはげまなくても、軽いウォーキングで十分な健康効果は得られるようです。もちろん他の運動をしても構いませんが、手軽さと安全性を考えればウォーキングがベストでしょう。実際のところ、サルデーニャ島の老人たちも、ほかにこれといったエクササイズはしていません。
また別の研究では、ウォーキングが体の痛みをやわらげる可能性も示唆されています。
26件のデータをまとめたイギリスの調査によれば、1日10分以上のウォーキングをする人は慢性的な腰痛や関節痛などが大きく減るのだとか。中高年を悩ませる「体の痛み」が少しのウォーキングでやわらぐのですから、やらない手はないでしょう。
歩く目安は1日10~30分から始めてください。ウォーキングをした日の夜にぐっすりと眠れ疲れが取れるぐらいの運動量を目指すのがおすすめです。逆に、起きてもまだ疲れているようなら歩きすぎの可能性があるので注意しましょう。
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