「NGT山口」事件で歴史に残る“ぐだぐだ会見”、松村取締役の正体と内部の不満
“究極の火消し”が大炎上
3月24日の日曜、つまり今日の午前10時から「ワイドナショー」(フジテレビ系列)が放送される。番組の公式サイトには、ゲストコメンテーターの出演者として、中居正広(46)と指原莉乃(26)の名前が記載されている。
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少なくとも前日の23日までには出演情報が広範に伝播しており、関係者の間でも、松本人志(55)を含めたこの3人が、「山口真帆暴行事件」に対してどのようなコメントをするのか注目されていたという。
それにしても、史上最悪クラスの“ぐだぐだ会見”だったことは間違いない。被害者がリアルタイムで疑問や怒りをツイートし、記者が質疑応答に使ったのも前代未聞だろう。その気になれば、松本も中居も指原も、コメントのネタには事欠かないはずだ。
NGT48の山口真帆(23)に対する暴行事件で、運営会社のAKSは3月22日、新潟市内で第三者委員会による調査報告書の記者会見を行った。その内容に非難が集中している。改めて会見に至るまでの経緯を振り返っておく。
山口は2018年12月、自宅玄関先で顔を掴まれて押されるなどされ、新潟県警は無職と大学生の男性2人(註:肩書は当時)を暴行容疑で逮捕。その後、新潟地検は2人を不起訴処分とした。
新潟県警は被害者を匿名にして発表したが、AKSは一切の広報を行わなかった。翌19年1月、山口本人がツイッターや動画などで自ら被害を告白。「NGT48のメンバー複数が暴行事件に関与している」、「運営スタッフが適切な対応を行わなかった」と指摘したことで大きな話題となった。暴行被害を振り返った山口のツイートを転載しておこう。
《助けてと叫ぼうとしたけど怖くて声が出ませんでした。一分ぐらいしてやっと声が出せました。「たすけてたすけて」と叫びました。男は私の口を塞ぎました。そのまま家に閉じ込められて殺されるかと思いました》
これに新潟県警の記者クラブ加盟社などが取材を開始。1月10日、各社が報道したことで事件が明るみに出た。そしてAKSは、事件時に公表しなかったことや、同日の公演で山口に謝罪させたことなどが致命傷となり、世論の非難が集中。危機管理は初動で大きく躓いた。
デイリー新潮は1月13日、「NGT48『山口真帆』暴行事件、スタッフの“情報統制”に騙されたスポーツ紙」の記事を掲載。AKSが水面下で“山口に非がある”と責任を転嫁して沈静化を図ったことなどをすっぱ抜いた。芸能担当記者の指摘を再録させていただく。
《「NGTサイドは当初、暴行事件に関しては表向き“取材拒否”とする一方、スポーツ紙などには“火消し”に躍起だったんです。山口さんが動画を配信し、ツイッターを公開しても、NGTの関係者などは芸能メディアに『山口には少し精神的な問題がある』と、あたかも狂言であるかのように匂わせるなどしていました」》
これでは世論の怒りが収まるはずもない。追い詰められた格好のAKSは1月14日、支配人の今村悦郎氏を事実上の更迭とし、第三者委員会(委員長:岩崎晃弁護士)が調査を行うと発表した。
そして、先述の通りAKSは、22日午後1時半から新潟市内で会見を開いた。同社運営責任者兼取締役の松村匠氏、NGT48劇場支配人の早川麻依子氏、同副支配人の岡田剛氏の3人が出席し、第三者委員会による調査結果を説明した。
ところが、“究極の火消し”として満を持したはずの会見が、逆に新たな炎上を招いたのだ。まずは芸能担当記者に解説してもらおう。
「調査報告書は全34ページ。その3ページ目に、被疑者2人と仲間の男性1人に調査協力を依頼するも拒否されたとの記述があります。3人のうち仲間の男性は『劇場への出禁解除の交渉』を条件として提示し、これはAKSが拒絶。残りの被疑者2人は、返事すらなかったそうです。第三者委員会は捜査機関とは異なり、強制的な捜査は不可能です。委員会で真相解明は到底、無理だとの印象を受けましたね」
その一方で、報告書は「メンバー12人がファンと“私的交流”を持っていた」ことを指摘し、かなりの衝撃を与えた。
「これまでにもAKB48などでメンバーとファンの交際がスキャンダルとして報じられたことはありました。しかし12人という人数は桁が違います。しかも12人の責任は『今回は不問』とする方針を打ち出しました。これではNGTのファンでも納得できないでしょう。松村取締役は『被疑者とメンバーが共謀して暴行事件に関与した事実はない』と説明しましたが、たとえ山口さんが反論しなくとも、甘い対応に世論は反発したと思います」(同・芸能担当記者)
会見の生中継を山口は視聴していた。始まってから約30分後、彼女はツイッターで反論を行う。5つのツイートの全文を紹介しよう。改行を省略するなど一部は改変したが、他は全て原文通りだ。
【1】《只今、記者会見を行っている松村匠取締役は第三者委員会が行われる前に「繋がっているメンバーを全員解雇する」と私に約束しました。その為の第三者委員会だと、私も今までずっと耐えてきました。コミュニケーションも何も、このことに関して聞くと連絡が返ってきません》
【2】《私は松村匠取締役に1月10日の謝罪を要求されました。私が謝罪を拒んだら、「山口が謝らないのであれば、同じチームのメンバーに生誕祭の手紙のように代読という形で山口の謝罪のコメントを読ませて謝らせる」と言われました。他のメンバーにそんなことさせられないから、私は謝りました》
【3】《記者会見に出席している3人は、事件が起きてから、保護者説明会、スポンサー、メディア、県と市に、私や警察に事実関係を確認もせずに、私の思い込みのように虚偽の説明をしていました。なんで事件が起きてからも会社の方に傷つけられないといけないんでしょうか》
【4】《報告書に記載もないのに繋がりには挨拶も含まれるというのは勝手な解釈です。他のファンには公表できないような、特定のファンとの私的交流を繋がりと言うのはメンバーのみならずファンの皆さんも認識していると思います。証拠がないと仰っていますが、犯人グループとの交際を認めたメンバーもいます》
【5】《なんで嘘ばかりつくんでしょうか。本当に悲しい。松村匠取締役が当初言うように考えた文章です。他のメンバーに謝らせることはできないから、謝るしかなかったけど、スッキリも誤解もしていないし、どうしてもこの言葉は使いたくないと違う文章を考えて何度も交渉しました》
説明が必要なのは【4】と【5】のツイートだろう。まず【4】だが、会見で松村取締役はメンバーとファンが“つながる”(註:山口は「繋がる」と記述したが、報告書の「つながる」に統一する)ことを、「特定のファンを優遇する行為として不適切」との見解は示した。
ところが松村取締役は「(“つながり”にはファンとメンバーが)道端で挨拶を交わすということも、その範疇に含まれている」と説明。「ファンサービスと“つながり”の線引きが難しい」ことをメンバーに対する“免責”の理由とした。
これに生中継を見ていた山口が猛反論。「“つながり”は秘密にしなければならない、メンバーとファンの極めてプライベートな“交流”を指すことは常識」と指摘したわけだ。
また【5】のツイートには写真も投稿されており、それが「松村取締役が考えた文章」を撮影したものだと思われる。
印刷されたような文字で、《今回は皆様をお騒がせして申し訳ありません。色々話してスッキリしたこともありますし誤解してたこともあります。これがきっかけになったらと思います。頑張りますのでどうぞ応援よろしくお願いします》と謝罪の文言が書かれている。
果たして本当に、この文書を暴行事件の被害者である山口に読ませようとしたのだろうか?
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