生姜チキンやふかひれスープも! スキマ時間の胃袋を温める自販機スープ事情

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勝機は「ブランドミックス」と「時間帯別の売上分析」

「これは飲料メーカーではない我々の強みなのですが、『ブランドミックス』と言って色んなメーカーから売れ筋や季節限定の商品を仕入れています。どんどん商品を入れ替えて、お客様に選ぶ楽しみを提供しようという取り組みを2006年の会社設立当初から続けてきました」(小室さん、以下同)

 同社のビジネスの根幹をなしているのが「時間帯別の売上分析」だという。

「通常の街中の自販機では『前回の補充からどれくらい売れたか』は分かるのですが、『いつ売れたか』までは数字に表れません。その点、弊社がJR東日本の駅内外に約8千台投入しているアキュアの自販機では、商品の時間帯別の売上データを取得することができます。また、街中と比べて、駅ナカの自販機はご利用者様が多いので、データ分析の対象には最適なんです」

 そのデータ分析の結果はこうだ。

「通常、自販機は朝の通勤ラッシュの時間帯が一番売れて、そこから夜にかけて落ちていきますが、特定の時間帯に売り上げが落ちないカテゴリーを発見したのです。たとえば16~18時にはゼリーや豚汁など小腹を満たせる商品、夜だったら体を温められるスープ系を中心に売れています。私たちは『どんな飲まれ方をするか』を想定して、忙しいサラリーマン、お子さん連れの主婦の気持ちになりきって商品開発に取り組んでいるんです」

 実際、筆者も仕事でJRの駅を利用した際には、朝はシナモン入りのりんご風味の紅茶を飲み、帰りがけにスープで体を温めるのが冬の楽しみのひとつだった。なんだか。同社の手のひらの上で転がされているような……。

※本記事に登場する商品は販売終了している場合があります。ご了承ください。

取材・文/松嶋千春(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年3月19日掲載

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