米国にケンカ売る文在寅、北朝鮮とは運命共同体で韓国が突き進む“地獄の一丁目”
ルビコン河を渡って「北岸」へ
それでも文在寅政権は、米国と全面対決する構えを崩さない。3月14日、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が、統一相の人事について「米国とは関係なしに、朝鮮半島政策を推し進める大統領の意向の表れだ」と述べた。大統領の本音を語ると韓国で見なされる文正仁氏は「(統一相に指名された)金錬鉄氏は主張通り仕事を進めていくだろう」「(それに対し)米国も何もできないはずだ」とも語った。
ついに文在寅政権は、北朝鮮を助けるためなら米国との決別も辞さない、と言い出したのだ。「ルビコン河を渡った」のは、このままでは一心同体の金正恩政権がじり貧となるとの判断からであろう。
ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わったため、国連の対北制裁が緩む見通しは立たなくなった。制裁により北朝鮮は、石炭、繊維、水産物の輸出が激減、外貨不足に陥っている。
朝鮮日報のアン・ヨンヒョン論説委員 は「今や金正恩は『通貨危機』を心配することに」(3月6日、韓国語版)で「制裁が続けば北朝鮮は2~3年後に(外貨が枯渇し)通貨危機に陥る可能性が高い」と書いた。
北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は3月15日に平壌で会見し、金正恩委員長が米国との非核化交渉に関する声明を近く発表すると明らかにした。その内容は、米国の非核化要求を拒絶、交渉中断や大陸間弾道弾の試験再開を表明する可能性が高いと見られている。 じり貧の道から脱し、米国を再交渉の場に引き戻すには、「放っておけば危険な北朝鮮」とのイメージを打ち出すしかないとの思惑だろう。
朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン) 主筆は「文政権、金正恩と運命共同体になっている」(3月7日、韓国語版)を書いた。「北朝鮮との関係改善」というカードに全てをかけた文在寅政権は、世界中を敵に回した金正恩政権とスクラムを組むしかなくなった、との分析である。
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