「内田裕也さん」死去 週刊新潮に寄せた“怒りの原稿”とはウラハラな義理堅き男

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

 ロックン・ローラー「内田裕也」がこの世を去った。享年69+10。
 
 妻の樹木希林さんが亡くなったのは昨年9月15日。あれから、およそ半年、内田さんは3月17日5時33分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。

 彼を知る人は、破天荒さと義理堅さが奇妙に共存する人だったと口を揃える。「週刊新潮」(08年10月30日号)に掲載された、内田さんの原稿「ふざけるな『文化庁』何が前例だ!」は、まさに破天荒そのもの。「週刊新潮」編集部は、インタビューでも聞き書きでもない、直筆の原稿を依頼したが、あろうことか担当編集者は、書き直しを命じたという。だが、実に裕也さんらしい義理堅さを感じたと振り返る――。

 まずは内田裕也著「ふざけるな『文化庁』何が前例だ!」をご覧いただこう。

 ***

「ふざけるな『文化庁』何が前例だ!」ロックン・ローラー 内田裕也

 POWER TO THE PEOPLE! 1973年にスタートしたNEW YEAR ROCK FESTIVAL!は、「キャロル」「ファニー・カンパニー」「RCサクセション」「BOØWY」「白竜」のキーボードプレイヤーとして小室哲哉君、あの「力也」達も参加して今年36回目を迎える! ギネス!

 5年前から俺の中に変化が起こり、ロックン・ロールを通じて世界に何かを発信したい! と強く思う様になった。小泉氏靖国参拝でおきた中国・韓国の一大反日デモのさなか、「上海」にJOEが、「ソウル」に白竜がロックアンバサダーとして行き、その後「ニューヨーク」、今年は「ロスアンゼルス」と四カ国同時開催を実現させ、タイトルも「NEW YEAR WORLD ROCK FESTIVAL!」として世界でたった一つのロックフェスをスタートさせた! 毎年赤字が続いている。

 そうだ「文化庁」がある! ヒラメイタ俺はステッキをもって乗りこんだ!

「日韓友好40周年」の大きなポスターが貼ってあって「オー、ナカナカイイネ」と思いながら、席に着いた。

 チョットエライ風な役人が「ご用件は?」。

 俺はトツトツとコンサートの趣旨をのべ「STOP WAR! STOP NUKES! STOP! グローバルウォーミング」のスローガンのもと四カ国のミュージシャンが同時に「カウントダウン」をするのだとコーフン気味にアプローチした!

「フーン、お話は判りますが前例がないので……」

「ゼンゼン例がないことにチャレンジするのが『文化』だろう!」と俺はキゼンとして言った!

「イヤー何しろ予算がないもので……」

「ナ、ナニーィ、1100億円も計上してるじゃないか」

「文化財の修理、オペラや絵画その他色々なものに」

「日韓友好40周年って書いてあるじゃないか。『ソウル』でコンサートやるんだ。『世宗大学』のホールで! これ以上の文化交流はナイダロウ! こんな反日デモの最中に!」

「イヤー。と言われても前例のない事なんで……」

「ナニナニィ、じゃ1100億円もの予算を何に使っているんだーっ。情報開示しろーっ」。俺は今まで使った事のない言葉を発した!

「君ぃー、情報開示に関する書類を持って来なさい」

ロックン・ロールをなめるな!

 若い役人が書類を持って来た。「厚さ30センチ」近い!

「こ、これに全部書けと言うのか!?」

「キマリですから」

「一体誰が配分決定しているんだーっ」

「民間の専門の方々に会議していただいて」

「それは誰なんだーっ?」

「申し上げられまセン! それに内田サン個人でヤッテられる様ですし!」

「ナナニーイ、コ、コジン? 『FUJI TV』はお正月に『3時間』にわたってON AIRしてくれてるんだーっ。『オノ・ヨーコ』サンはじめ、日本音楽事業者協会の『田辺昭知』サン、『長良じゅん』サン、その他大ゼイの人達がドネーションしてくれているんだ一っ! 石原プロもあの『北野武』氏も! 外国ヘロック大使として行くミュージシャンの飛行機代と宿泊代だけでもとたのんでいるんだろーっ!」

「そう言われましても前例がないもので……」

「ナナナニイー」と言葉につまって俺はステッキをふり上げそうになった!

「公共物破損で捕まりますよ」とマネージャーがクールに言った。女の職員が「お茶」を持って来て何故かクスッと笑って去った。

 俺は立ち上って「こんなにマジメにヤッテイルのに判らないのかあーっ」「ゼイ金もキチンと払ってイルンダーッ。必ず又来るからなーっ!」と言ってエレヴェーターへ向かった。

 若い2人が追いかけて来て「ユーヤサン、僕達も何回もコンサート行ってますよ。ここはトップダウンしかないですよ!」。

 ト、トップダウン? 翌日から小泉政権文部科学大臣「KOSAKA」氏の秘書室に何十回と電話しまくった。

「小泉サンもエルヴィス・プレスリーやX JAPANのファンだろーっ」

「それとこれとは関係アリマセン」

「ナナナニーイ」。次の日も次の日も文化庁&大臣秘書室にカケマクリ声がカレタ。「安倍政権」になって副大臣にも会いに行った! ステッキ持って! 「イヤー気持ちは判るがロックは前例がないと言うので……」。

 36回目の今年は世界恐コウの中「東京」「上海」「ソウル」「ロスアンゼルス」日加修好80周年の「カナダ・トロント」の5カ国でヤル事が決定した!

 そして俺は今日も電話機を持ちキリツシナガラ「あのー、豊田サン、今年も又ドネーションヨロシクオネガイしますーっ」。

 P.S. その文化庁はイタリアの画家を丸ごとコピーした日本人画家に賞と金一封をおくりその存在を示した!

 フザケロ「文化チョウ!」、又行ってヤル!

次ページ:たった一度会っただけ

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。