樹木希林さんが語った「人間・内田裕也」
3月17日に亡くなった内田裕也さん(享年79)は、トラブルメーカーとしても知られた存在だった。2011年には交際女性に対する強要未遂と住居侵入の容疑で、生涯3度目となる逮捕を経験している。
週刊新潮では当時、妻の樹木希林さんの独占インタビューを掲載。事件について語るとともに、別居しながら夫婦を続けた樹木さんの複雑な胸中を告白した。(以下は11年5月26日号掲載時のもの)
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「事件を知ったのは13日の朝でした。ワイドショーのレポーターの方が留守番電話に入れてくれたんですよ。「樹木さん、大変なことになりました!」って、血相を変えたような声で。でも、私としては、全然大変じゃないのよ。これまでもいっぱい似たようなことがあったから。「そういうことになったのか」くらいね。
内田さんは、つい最近も私や本木(雅弘)さんに「お前ら、好事魔多しっていうから気をつけろよ!」って言ってたんです。私は「はい、わかりました」って言ったけど、「魔は自分だったんじゃないですか?」と言いたいですね。
〈内田が交際していた航空会社の客室乗務員に対する強要未遂と住居侵入の容疑で逮捕されたのは5月12日午後のことだった。
「内田は09年末頃から被害女性と交際。最近別れ話を切り出されていたが拒否し、4月2日女性宅に復縁を迫る脅迫文を投函した。4月19日には女性宅の鍵を勝手に交換し、中に入ったそうです」(社会部記者)
ロックンローラーがストーカーで逮捕されるとは、あまり良い話ではないが、内田を知る音楽業界関係者は言う。
「裕也さんのスチュワーデス好きは、関係者の間では有名です。昔からホノルル便やロス便に乗っている日航や全日空の子たちと付き合っていた。実は、最近、彼の様子がおかしかったんです。4月6日、東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市を訪問しましたが、その惨状を目にし、かなりショックを受けたという。帰京後、友人に夜中、何度も電話し『眠れない』と話していたというのです」〉
震災が起きて、内田さんは女性宅に手紙を入れて(4月2日)、その後、被災地を訪れた。恐らく、被災地のことで頭がいっぱいになって帰ってきたんでしょう。きっと、女性に助けてほしい、心を癒してほしいと思ったのでしょうけど、それが叶わなかった。私の所に来ても「ああ、そうですよね」で終わりだから。
事件発覚後、内田さんと親しい人たちから、その女性について「あぁ、知ってますよ」とずいぶん聞かされました。結構、2人で公然と出歩いていたようです。その女性とは、以前ホテルオークラで揉めて、パトカーを呼んだこともあったみたいです。
そう言えば、最初別居した頃も日本航空のスチュワーデスさんと付き合ってました。ただ、それが原因で別居したわけじゃありません。女の人が原因で揉めることはありませんよ。そこで嫉妬とか言ってたら、首に縄を付けて引っ張ってなきゃいけない。そういう元気はないわ。でも、日航は.好きみたい。マイレージを貯めてるのでしょ。スチュワーデスさんには、違う時空間を感じるのでしょうかね。
まぁ、今までもこんなことはあったんですけど、女性の方が被害届を出さなかったんだよね。今回は、お上に“恐れながら……”と被害届を出したから表に出た。初めてだからありがたいわけですよ。後は、本人がどう考えるか突きつけられたということでしょう。
内田さんが本当に反省するか? いえいえ、人間はそんなに変わるものじゃありません。年齢は関係ないわね。悪口を言うようで悪いけど、内田さんの親が生きていればどうだったかな。親のせいだけじゃないけれど……。そうそう、内田さんのお兄さんが言ってました。内田さんには20歳くらい歳の離れたお兄さんがいるんです。その人が「小学校の頃から暴れて、もうどうにもならない。それこそ蔵に閉じ込めたりしたんだよ」って。その頃から変わってないんだよね。そのまんまです。
今回のような事件は、時間が経つと示談になったりするでしょ。でも、私は内田さんの弁護士さんに示談にはしないでもらいたいと思っています。いずれにせよ、私は弁護士さんに着手金も示談金も出しません。さすがに、それくらい言う資格はあると思います。一方、刑事さんの話を聞くと、内田さん本人は「謝りたい」と言ってるようです。でも、「私に対して?」と聞いたら、「いや、トンでもない。相手の女性には謝りたいみたいで……」ですって。
それでも、私が見放すことはないわね。出会った責任というのがあるんです。自分が内田さんと出会って、ましてや子どもまでいる。内田さんはヤワな部分と強靭な部分のバランスが悪い。私はそれをひっくるめて分かるから、今のようにしているのかな。最後まで見届けなければいけないと思いますよ。どっちが先に死ぬかは分かりませんが。
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