“350億円持っているだろ”で強盗被害 78歳元「大物詐欺師」が語る“鍋コース”とは

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1250兆円の売り上げ

「山本に金を預けて戻ってこなくなってしまった被害者は日本人と中国人が半々くらい。私が把握しているだけでも500名の被害者がおり、平均被害額は約600万円。つまり、少なくとも被害総額は30億円に達しているのです」

 そう説明する「山本一郎詐欺被害者救済グループ」共同代表の嶋田永浩氏によると、今回、山本氏が金集めの「ネタ」にしたのは「競球」なるものだという。それは競馬の馬の代わりに「球」が競うギャンブルで、

「将来性のある事業だから儲かる、金を預ければ倍になる、として出資を募るわけです。最初は彼の言う通りに配当が出ていたのですが、昨年9月末にそれが滞るようになり、今年1月には“強盗に入られて金がなくなった”と言い出した。それで皆が騙されていたことに気付き、すでに民事訴訟も起きていますし、刑事告訴についても警察と相談しています」(同)

「被害者」の主張に対し、山本氏は何と答えるか。以下は90分に亘って彼が語った言い訳と奇妙な持論だ。

「全額返せと言っているのは、ニセモノの伝票を持っている人たちです。泥棒が入ってしまったので、100%の支払いができず5%にした。5%しか戻らなくても、残り95%の債権で“鍋コース”に加入することだってできる」

――「鍋コース」とは?

「ウチがやっているのはずっと鍋なの。お金という具材を皆で鍋に入れて、皆で食べる。鍋の中身がなくなったら? それは“無いよ”ってことだ。まだ今は具材が入ってきているから大丈夫だけど、止まった時には競球が活きてくる」

――その「競球」は本当に事業化できるのか?

「競球の実現には100億は必要だ。でも、スタートすれば、海外だけで1日の売り上げが1兆2500億円くらいになる。年間で1250兆円の売り上げになって、そのうち465兆円が税金になる。それを厚労省が回せば、年金とか、いろいろカバーできる。だから、競球の管轄は厚労省になる予定。予定ね……」

 先の嶋田氏が憤慨する。

「被害者が、ニセモノの伝票を振りかざしているなんて、あり得ないことです。こちらは100%本物の伝票です。『鍋コース』は彼の最後の砦。事務所を閉めて動きを止めた時、詐欺だと見なされて警察に入られるのを恐れているのです」

 取材に応じた際、山本氏は「警察は手出しできませんよ」と挑発的なセリフも口にしていたが――。

週刊新潮 2016年8月25日秋風月増大号掲載

ワイド特集「掟破りの掟」より

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