ピエール瀧事件、コカインの年間押収量は覚せい剤の約16分の1 日本の特殊事情を解説
基本は“似た者同士”
社会的影響は遥かに、新井浩文被告(40)を超えるかもしれない――。3月12日、厚生労働省の「関東信越厚生局麻薬取締部」は、俳優でミュージシャンのピエール瀧(本名・瀧正則)容疑者(51)をコカインの使用容疑で緊急逮捕した。本人も認めているという。
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改めて「マトリ(麻薬取締官)」の存在感を世に示したわけだが、ピエール瀧容疑者を逮捕した「関東信越厚生局麻薬取締部」で、過去に部長を務めた瀬戸晴海氏が言う。
「ピエール瀧容疑者が、ワイドショーなどで晒し者にされていることは、とても残念ですが、今回の逮捕は、コカインが蔓延している現状を踏まえると意義深い事件だと思います。さすが後輩たち、狙い通りの結果を出していますね」
実は、代謝が早いのがコカインの特徴の1つだという。つまり薬が体から“抜けて”しまうのが早いわけだ。
「覚せい剤なら10日が経過しても尿から反応が出ます。ところがコカインは3日が限界です。ピエール瀧容疑者の自宅からは、ブツは発見されておらず、尿からの反応で緊急逮捕しました。踏み込むのが2、3日遅れていたら、施用容疑での逮捕は難しかったでしょう。(編集部註:コカインは「使用」ではなく「施用」が正式)しかし、そこは麻薬取締官、それを見越しての捜索であることは、間違いないと思っています」(同・瀬戸氏)
コカインとは「コカの木」に含まれる有機化合物を指す。1855年、コカの葉からコカインの抽出に成功したのが原点。当初はモルヒネ依存の治療薬や麻酔薬として使われていたが、現在は非合法薬物としての側面が極めて強いのはご承知の通りだ。
「コカインの使用方法は、基本的に“スニッフィング”です。テーブルの上に粉末を一直線上に集め、ストローや丸めた紙幣で鼻から一気に吸引する。コーク、スノー、チャーリー、Cといったスラングで呼ばれていますが、売人と使用者の間ではコカインを『鼻』とか『ズルズル』と呼ぶこともあります。ピエール瀧容疑者も、韓国のウォン札を吸引に使っていたと報道されています」(同・瀬戸氏)
コカインも覚せい剤も、「脳の中枢神経を興奮させる薬物」という意味では、極めて類似している。とはいえ、異なる薬物なのだから違いもある。
「コカインは覚せい剤と同等の興奮作用を有しています。ところが、覚醒剤の作用時間が数時間あるのに対して、コカインの場合、20分から30分で効き目が消失します。そのために反復して使い耐性がつきやすく、依存に陥りやすいのです。依存性は、動物実験によれば覚醒剤より強いとされています。鼻孔から吸引を続けると炎症を起こすこともあるので、常習者は歯茎にすり込むこともあります」(同・瀬戸氏)
分かりやすい相違点は、「覚せい剤で逮捕された芸能人」と「コカインで逮捕された芸能人」の差だろう。
覚せい剤で逮捕された芸能・有名人を列挙してみれば、1999年の槇原敬之(49)、2009年の酒井法子(48)、14年のASKA(61)、16年の清原和博(51)と高知東生(54)――と枚挙に暇がない。
一方のコカインは、逮捕者が少ない。スポーツ新聞のデータベースを詳細に調べても、芸能人や著名人は6人しか検索されなかった。
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