24時間営業をやめた「セブン-イレブン」オーナーが語った意外な“成果”

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24時間営業で不便が生じた「コンビニ」紛争の明日(2/2)

 セブン-イレブンに浮上した「24時間営業」をめぐる問題。ことの発端となった大阪市・南上小阪店のオーナーの松本実敏さん(57)は、「遅番のバイトが来られなくなり、僕が夜10時から朝6時まで働き、その後も朝8時から12時間働いたことも」と、営業時間短縮に至った経緯を明かす(前回参照)。コンビニ加盟店ユニオンの吉村英二副委員長も「短時間営業に踏み切れる人は稀。オーナーの多くは、本部に許してもらえず、泣く泣く廃業しています」と実情を語るのだ。

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 こうした声に、セブン側はどう答えるだろうか。セブン&アイ・ホールディングスの広報に聞くと、

「オーナー様とは同じ看板を掲げ、売上を上げていくベクトルが同じ方向を向いていて、対峙しているのではありません。今後も話し合いを続け、24時間営業に向けてサポートをしていくという考えに変わりありません。ただ、24時間営業が難しいという声も現場にあるかも知れず、3月中旬から直営店舗で短時間営業の実験を始めます。少子化、高齢化、人口減など社会構造が変化するなか、実証実験を行って、お客様の反応、作業や物流の効率、売上や収益を確認する必要があります。ただ、原則24時間営業というスキームは変わりません。配送や店内の作業など、お店が24時間動いていることで効率化できる部分もありますし、地域にもよりますが、世界を相手に夜中も働いている方も多い。夜中にお子様が熱を出したときなど、24時間営業の利便性はあります」

 人手不足については、

「FCの役割分担で、人材を募集するのはオーナー様の役割ですが、それを超えた意味でのサポートは、いろいろ行っています」

 とのこと。次に、

「24時間営業をやめたいという声が上がっているかどうかは、お答えを差し控えますが、人材不足の相談を受けることはあります」

 というのがファミリーマートの広報の回答。ローソンの広報にも聞いた。

「1977年、弊社が24時間営業を始めた際、そうしたくないオーナーさんもいて、そういう方はいまも時短でやっておられます。ロジスティクスなども24時間営業を前提に構築され、24時間営業していただいたほうが利益になる仕組みですが、夜は営業しないかわりに本部に対するチャージを上げる時短パッケージも、一応設けています」

 多少、柔軟なようだが、

「時短営業が増えていくということではない」

 と話す。そのわけは、

「06~07年、“24時間営業は電気の無駄遣いで環境によくない”といった声を受け、オーナーさんが運営する店舗で時短営業の実験をしました。ところが昼間の売上も落ちて、“やはり夜間もやりたい”と言う方が大半だったのです」

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