締め切りのある人生を(古市憲寿)
友人のある漫画家は、とにかくこだわりが強い。せっかく引いた線に納得がいかなくて、何度もやり直しをすることは日常茶飯事。自分のことを「空白恐怖症」と呼ぶくらい、背景もきちんと描き込みたい。
ここまでは「作家のこだわり」で済む話なのだが、問題はその完璧主義ゆえに締め切りを守れないこと。その人の中では「80点」も「90点」もなく「100点」しかない。「100点」を目指す試行錯誤をしている間に締め切りが来て、結果的に下絵が雑誌に掲載されてしまうこともある。...
友人のある漫画家は、とにかくこだわりが強い。せっかく引いた線に納得がいかなくて、何度もやり直しをすることは日常茶飯事。自分のことを「空白恐怖症」と呼ぶくらい、背景もきちんと描き込みたい。
ここまでは「作家のこだわり」で済む話なのだが、問題はその完璧主義ゆえに締め切りを守れないこと。その人の中では「80点」も「90点」もなく「100点」しかない。「100点」を目指す試行錯誤をしている間に締め切りが来て、結果的に下絵が雑誌に掲載されてしまうこともある。...