「女子中学生2人殺害」後にワイセツ再犯 性犯罪常習男が面会室で語った“司法の敗北”
「死刑しかなかった」
諸澤氏の話に出た再犯防止プログラムとは、性犯罪の再犯リスクが高いと判断された受刑者や仮出所者を対象に行われるもの。数カ月間、自分の生い立ちや性格を突き詰めて考え、被害者側の立場になって手紙を書いてみるといった課題があり、性的欲求の対処法を定めて再犯防止計画を立てるのだ。
先ごろ本誌(「週刊新潮」)で懺悔録を掲載した元スーパーフリーの和田真一郎氏も、このプログラムを受講していた。自身を見つめるきっかけとなったと語りつつ、
〈中には全く反省しておらず「出たら被害者と称する女をぶっ殺したい」なんて平然と口にする受刑者もいました〉
とのエピソードも披露。諸澤氏の、成果が上がらないとの話に符合する。性犯罪常習者である寺本もむろん、これを受けてはいたが、
「私には意味がなかった」
と、小声で語る面会室の寺本は、うなだれている。
「最終的には出所後になにに気をつけたらいいのか、自分はどんなことに陥りやすいかなどをノートに書きます。いざというときストップをかけるための緊急的な対応策などを、最終的な課題として具体的に書いていくのです。そのコピーは出所後に持ち出すことができ、コピーは自分にとって必要なものでした。お恥ずかしい話ですけれども、出所直後は繰り返し繰り返し、見ていました」
しかし、広島の事件で服役し出所後、生まれ故郷の長崎に来たことで、“悪い流れ”となったという。
「長崎にいた元妻や息子、親きょうだいから冷たくあしらわれ、会ってももらえない。元妻からは、“息子たちはアンタなんかと会いたくないといっている”とも告げられました。それがかなりのショックだったうえに、私のアパートに警察の方がなんの前触れもなく訪ねてくる。小さなアパートなので住民からもおかしな目で見られ、嫌がらせをされるようになりました」
アパートにもいられなくなり追い詰められたという。
「どこにも行き場がありませんでした。今回の事件の1カ月前は月の半分をネットカフェで過ごしていた状態です。不眠症で、金銭的にも精神的にもめちゃくちゃだったときに、女の子に目がいってしまい……」
言い訳にしか聞こえない。そう受け止める向きもあろう。寺本は、“これだけははっきり伝えたい”として、
「東京と長崎の判決で上訴したのは、本心から極刑を望んでいたからです。2人を殺した罪の重さを考えると、一言の言い訳もできず、まったく救いがありません。いまでも自分に下される判決としては死刑しかなかったと思っています」
なのに、今回の懲役7年の判決には“刑が重い”と控訴している。GPS導入もいますぐ、とはいかない。性犯罪常習者への対処は、効力の見込めない再犯防止プログラムのみという。「司法の敗北」に感じるのは、怒りと虚しさばかり……。
[2/2ページ]