議員辞職の「田畑代議士」 性犯罪で告訴も「書類送検」が関の山という警察捜査の腰砕け

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幹事長への「配慮」

 捜査関係者によれば、官邸は、すでに昨年末の段階で「事件」について把握していたようだ。

「今回の一件は“政治家案件”ということで、愛知県警は発生当初から警察庁に情報を上げていました。そして、田畑さんが刑事告訴された2月上旬以降、警察庁の中村格(いたる)官房長が頻繁に官邸を訪ねています」

 中村氏といえば、警視庁の刑事部長時代に、安倍総理ベッタリと言われた元TBS記者・山口敬之氏の準強姦容疑(当時)による逮捕状を握り潰した人物である。秘書官として仕えた菅官房長官からの覚えがめでたいことでも知られている。

 そんな中村氏が、刑事部長時代の官房長だった栗生俊一警察庁長官の意を受け、捜査の進捗を官邸にご注進していたことは想像に難くない。とはいえ――当初の官邸の反応について、先の関係者はこう解説する。

「この件に関する官邸側の動きはあくまでも情報収集止まり。少なくとも、捜査に口出しするような素振りは見受けられません。詳細な情報を得ているはずの菅官房長官も静観の構えを崩さない。週刊新潮が田畑さんの行状を明らかにした以上、ヘタに庇い立てすれば政権に飛び火しかねませんからね」(同)

 確かに、またぞろ性犯罪疑惑で政権の関与が取り沙汰されてはたまったものではなかっただろう。ただ、それならば離党ではなく除名処分を下したり、強く辞職を迫ってもよさそうなものだったが、

「そこは二階幹事長への“配慮”ですよ」

 とは政治部デスクである。

「二階派に所属していた田畑さんが議員辞職すると、岸田派の吉川赳(たける)さんが繰り上げ当選となる。しかし、吉川さんの地元・静岡5区は、二階派の特別会員となった細野豪志元環境相の選挙区でもあります。これまでは、“比例復活もできない候補なら差し替えもやむなし”という空気もありましたが、現職となればハナシは別です。現職を差し置いて新たな候補を擁立することは永田町の常識では考えられません」

 二階幹事長は「安倍3選」を支持しただけでなく、つい先日も「4選」を示唆したと報じられている。

 幹事長の顔を立てるためにも、起訴され、辞職に追い込まれては官邸としても困る状況だったということか。

 しかし、田畑代議士に突きつけられたのは、起訴されれば懲役5年以上の刑罰に問われる重い罪である。

 性犯罪被害に詳しい上谷さくら弁護士によれば、

「準強制性交等罪は抗拒不能な状態、つまり、薬や飲酒によって酩酊した状態を想定しています。計画的に酒を飲ませたわけではなく、結果的に被害者が酔いつぶれていた場合でも、性交についての合意がなければ成立します」

 被害女性の告白を聞く限り、本来なら起訴される可能性は十分に思える。

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