第4次焼き芋ブームの秘密 浅草・合羽橋“焼き芋道具店”の売上も10年間右肩上がり
今年の冬、あなたは焼き芋を買ったのは移動販売車だろうか、それともスーパーだろうか――。
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「そういえば最近、焼き芋を売る軽トラを見かけなくなったなあ」と思っている方も少なくないだろう。
その一方で、スーパーの入口に焼き芋機が置かれている光景は日常的なものとなった。実を言うと、日本は「第4次焼き芋ブーム」の真っ只中なのだ。
歴史を振り返っておくと、第1次と2次は江戸時代後期と明治維新後。当時は甘味の乏しい時代だった。サツマイモ=甘藷は文字通りの“スイーツ”として人気を集める。旺盛な繁殖力から価格は安く、人口増加期だったため需用もうなぎ登りだった。
第3次は「石焼き芋」のリヤカー販売が人気を呼んだ昭和中期。そして現在の第4次はスーパーでの販売や高級路線などが特徴だとされている。
東京・合羽橋は飲食店向けの問屋街として有名だが、藤田道具(東京都台東区)は「焼き芋道具」に力を入れていることで知られる。
3代目社長の藤田雅博氏が初めて店に勤務したのは約30年前だが、「その頃は焼き芋機、ほとんど売れませんでした」と振り返る。
「当時、ガス式と家庭用を1種類ずつ置いていたと記憶しています。本当に、ごくたまにしか売れなかったですね。当時は、『焼き芋は移動販売車から買う』が常識でした」
そんな“冬の時代”から潮目が変わってきたのは90年代後半。藤田社長が変化を感じ取ったのは「焼き芋がコンビニで売られるようになった頃」と指摘する。
新聞データベースで検索すると、日刊スポーツが1997年1月24日に「連載 コンビニ大好き(8)ミニストップ ホカホカ『焼きいも』が目玉」との記事を掲載している。一部を引用させていただく。
《ここ1、2年力を入れているのが冬季限定商品の「焼きいも」(一本180円)。焼き立てそのままの味で発売から3年、今や目玉商品となっている》
99年には都内のスーパーが小野食品機械(千葉県東金市)に電気式焼き芋機の開発を依頼。完成した1号機を使って店内で販売されると、たちまち行列ができた。テレビにも取り上げられたこともあり人気に火が付く。ちなみに小野食品機械の電気式焼き芋機のシェアはトップクラスという。
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