“団地妻”シリーズ「白川和子」が最高峰映画賞 “全てはロマンポルノのおかけです”

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 吉永小百合、倍賞千恵子、三田佳子、岸惠子、大竹しのぶ等々、日本を代表するお歴々が並ぶ。国内最高峰の映画賞である毎日映画コンクール、その中で映画界に貢献した女優に贈られる「田中絹代賞」の受賞者だ。

 今年も同賞受賞者が決定。栄誉ある賞に輝いたのは、意外や……いや失礼、1970年代「団地妻」シリーズで一躍名を馳せた“ロマンポルノの女王”こと白川和子(71)であった。

「選考委員の見る目の高さに拍手を送ります。ロマンポルノの一時代を築いた方。賞に相応しい女優です」

 そう熱く話すのは、映画評論家の北川れい子さん。

 71年、経営立て直しのため日活が始めたロマンポルノに第1作から出演し、真に迫った人妻のエロスを演じて世の男達を“熱く”した。出演したピンク映画は5年間で200本にも上る。

 ロマンポルノ引退後も、今村昌平監督「復讐するは我にあり」など数々の話題作に出演。そうしたことが評価されての受賞のようだ。

 白川さんご本人が語る。

「憧れの大女優の名を冠する賞なんて夢のよう。表彰式は足が震えっ放しでした。全てはロマンポルノのおかげです。この齢になるまで映画からお声がかかるのも“団地妻”があってこそ。ただそのために、父の人生を脅かし、妹に迷惑をかけ、と言うに言われぬ苦労もたくさんありました……」

“ピンク映画”に出ていることが知れ、防衛庁に勤めていた父は失職寸前に。妹は婚約破棄を申し渡された。自身も結婚後に団地住まい中、周囲から「不潔な女」と蔑(さげす)まれ“追い出し”運動を起されたことも。

「でも、父は悩みながらも“深みのある人間になりなさい”と常に励ましてくれ、妹も私を信頼してくれていました。父の言葉を支えに、ここまで来られたんだと思います。田中絹代は父の時代のスター。やっと天国の父に親孝行ができたかも」

 50年の苦節が報われた。

週刊新潮 2019年2月28日号掲載

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