「はじこい」アラフォー・アイドル路線で苦戦中 「深田恭子」はそろそろ転換期?

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奇跡の36歳「深キョン」

 さて、あまたさぶらひたまひける連ドラの女御、更衣の中で、まずアゲツラいたいのは「初めて恋をした日に読む話」の深田恭子。いや、やっぱりあらためて驚いちゃったもんですからね、深キョンがアラフォー入りしてたことに。初主演だった「神様、もう少しだけ」(フジ系/1998年)でHIVに感染したルーズソックス姿の援交女子高生を15歳で演じてたのが、もう20年前……

 で、もひとつ、あらためて驚くのが、現在ただいまの恭子36歳が、まるで36歳には思えないこと。「初めて恋を」での役どころは、東大受験に失敗してから公私ともにいいことのない予備校教師32歳。4歳のサバ読みなんて女優のサバ読みとしちゃかわいいレベルだし、そもそも今回の深キョン、32にさえ見えなくて、たとえば27の役どころだったとしても、画面の中ではルックス面でも言動面でも破綻はほぼないから、深田恭子、奇跡の36歳です。

 が、主演女優が若見えすりゃそれでいいってわけじゃないのが、ドラマなり映画なりの残酷なところ。いや、それでOKって場合もあるっちゃあるんですよ、たとえばアイドルものとか。その上で「初めて恋を」という連ドラの話をするなら、36にも32にも見えない深キョンのかわいさ・変わらなさが、この作品のプラスにもマイナスにもなっちゃってる。

 ある作品について“主演がアラフォーなのに立派なアイドルものとして成立しています”と言える場合、まず演者についての部分を切り取ると出てくるのは“アラフォーなのにまだアイドル”という見方。36歳で「初めて恋を」に出てる深キョンの場合なら、そりゃ凄いという話になるし、10年前、36歳だった時分に「CHANGE」(フジ系/2008年)や「MR.BRAIN」(TBS系/09年)に出てたキムタクはこりゃ酷いという話になってた。

 今度の深キョンが凄いならいいじゃないか、という話じゃありません。“主演がアラフォーなのに立派なアイドルものとして成立しています”なる評価から、作品についての部分を抜き出せば、“つまるところはアイドルもの”。「初めて恋を」が、深キョンを見てればなかなか愉しい番組なのに、ドラマとしてはなかなか愉しめない理由は、そこに尽きる。

 原作のマンガも絵ヅラからして相当アマい少女マンガ調、ドラマ版もその雰囲気を壊すことなく実写化してまして、そこは巧いなぁと感心さえするんだけれど、結局のところ作りはよくも悪くもアイドルもの。その主演に深キョンが不適でないことはともかく、もっと自然に、もっと引っかかりが少なく、演(や)れた女優は他にもいただろうに、と思わざるをえない。

 深田の所属するホリプロだけに限ってみても、「初めて恋を」の主人公と同じ年代には綾瀬はるかがいて石原さとみがいます。これに深キョンを加えたホリプロ3人娘のうち、綾瀬は「義母と娘のブルース」(TBS系/18年)において10年間にわたる物語で義理の母を演じ、石原は「アンナチュラル」(TBS系/18年)で法医解剖医という高度プロフェッショナルを演じて、いずれも高い評価を得た。アラサーという難しい時期にある女優の挑戦が成功した形です。

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