地方発の“高級”回転寿司が大人気 客単価がくら寿司の3倍でも行列ができる理由

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回転しない店も増える可能性

 そもそも回転寿司自体が、地方都市で愛された歴史を持つという。つまり、地方発の回転寿司が盛り上がっているのを「原点回帰」と見ることも可能なのだ。

「回転寿司は60年代に大阪で誕生し、東日本では仙台に1号店がオープンしました。70年代になると、いわゆる“海なし県”で人気を博します。現在も埼玉県や栃木県に本社を構えている回転寿司のチェーンがあるのは、そうしたことが背景にあります。そして80年代から都内に回転寿司が増えていったわけで、地方から首都圏へというのは1つのパターンなんです」(同・千葉氏)

 東京は市場規模が大きく、個性的な店舗が受け入れられやすい。地方発の回転寿司が首都圏を目指すのは必然だという。

「『もりもり寿し』から『トリトン』の4社の価格帯が高く、首都圏に進出すれば客層が増えるのは間違いありません。家賃や人件費が高く、ランニングコストは地元の比ではないでしょうが、都内は高収入の消費者が地方都市より多いことが魅力なのです」(同・千葉氏)

 こうして首都圏の消費者は、多種多様な回転寿司を楽しむことができるというわけだ。そして今後だが、面白いことに「高級化した回転寿司」の成功により、「寿司を回転させない」店も増えていく可能性があるという。

「高価格帯の回転寿司店ですと、お客さんが直接注文することが多く、何のためにベルトコンベアに投資したのか分からなくなってきます。そのため近年は、『流れ寿司』という方式に注目が集まっています。ベルトコンベアで寿司を流さない代わりに、注文するといわゆる“新幹線レーン”のコンベアで運ばれてくるというスタイルです。店側は省力化、お客さんは板前さんと対面する精神的プレッシャーが軽減されるというわけです」(同・千葉氏)

 高級店は緊張感も楽しみの1つだが、高価格帯の回転寿司は美味しいネタをリラックスして楽しむのが眼目ということなのだろう。いやはや、それにしても、本当に日本人は寿司が大好きだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月25日掲載

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