地方発の“高級”回転寿司が大人気 客単価がくら寿司の3倍でも行列ができる理由
北海道勢はサーモンが人気
次は北海道勢だ。「回転寿司 根室花まる」の公式サイトによると、道内に9店舗、そして都内の「KITTE丸の内店」と「銀座店」の2店舗、合計11店舗が営業している。
札幌市の店舗も行列で知られているというが、ネット上では「KITTE丸の内店」が1〜2時間待ちだったという体験記もアップされている。
公式サイトには「おすすめ」として5品のにぎり寿司が紹介されているが、価格は表示されていない。そこで検索エンジンで調べてみた。店舗によって価格を変えているケースや、値上げや値下げなどで、実際に来店した際の値段と異なる可能性があることはご承知いただきたい。
ファンも多い「真だち」は真鱈の白子で500円、「とろにしん」「味わいたらこ」が320円、「生ほたて」は500円。5品目の「寒ぶり」は価格が不明だった。
ラストを飾るのは「回転寿司 トリトン」。公式サイトによると、札幌エリアに9店舗を展開し、都内は「東京スカイツリータウン・ソラマチ店」と「池袋東武店」の2店が営業している。
こちらも公式サイトには価格の表示がない。「食べログ」で「東京ソラマチ店」を閲覧してみると、18年11月に投稿された「本日のおすすめ」の写真が掲載されている。
その一部をご紹介すると、「北の旨いもん三種盛り 北海トロにしん・活ホタテ・いくら」が630円。「生サーモンづくし 生サーモン・漬け生サーモン・炙り生サーモン」は530円。単品は「でっかいぼたんえび」が780円、「とろさめがれいの岩塩炙り」は340円となっている。
4社とも、場合によっては単品のにぎり寿司でさえ、コンビニ弁当の価格を超えてしまう。厚生労働省の不正統計問題では、実質給与が微増とかマイナスとか議論されているが、庶民の懐が厳しいのは間違いない。デフレ経済に逆行した強気の経営戦略だが、しっかりとファンを獲得している。フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏に、人気の理由を訊いた。
「やはり、味が別次元です。固めた寿司飯に切った刺し身を載せただけという、回転寿司チェーンが存在するのは事実です。それに対して『もりもり寿司』から『トリトン』までの4社は、美味しいというだけではく、内装や食器に高級感があります。お祝い事に使っても問題ありません。消費者も賢く使い分けているようです。普段使いは大手4社、記念日や給料日に地方発の高級回転寿司を訪れるという具合です」
30代の会社員などは、1度は銀座や赤坂の高級寿司店に行ってみたいと思っている。懐に余裕もある。だが、やはり若輩者だから気後れしてしまう――。こんな層からも、地方発の高級回転寿司は支持されているようだ。
千葉氏によると、そもそも地方発の高級回転寿司が都内で注目を浴びるようになったのは、90年代後半から2000年代にかけてだという。
「『金沢まいもん寿司』は回転寿司ではない、対面式の寿司店も経営しています。こちらのほうが東京エリア初上陸は早く、2002年12月に横浜・たまプラーザ、2003年11月東京・世田谷区で『金沢まいもん寿司「珠姫」玉川高島屋S・C店』がオープンしました。これが契機となって、徐々に『地方発の高価格・高品質の回転寿司』が注目されていったという流れでしょう」
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