厚労省「統計不正」で春闘に影 経団連「中西会長」の勝算

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“統一要求”に否定的

 全国紙の政治部記者の解説では、

「目下、国会では野党が“アベノミクスは統計不正による偽りの景気回復だ”と、政権批判を展開している最中。実は、労組の支援する野党が統計不正問題を追及すると、労組にとってはマイナスになります」

 野党は1月25日、毎月勤労統計を独自試算した結果を公表した。その試算によると、昨年1月から11月で賃金がアップした月は前年同月比で6月だけということになる。

「これが事実ならば、世の中全体で賃金が上がっていないことになる。そこで労組が大幅な賃上げを要求すれば批判を受けかねないので、中西さんは余裕の笑みなのです」(同)

 そもそも経団連の中西会長は、春闘の“統一要求”にも否定的だという。

「中西さんは、“4%の統一要求といっても、大企業と中小零細企業とでは基本給も違う。それを同じ比率で要求するのは合理的でない”と言っていた。確かに、彼の出身母体であり、業績好調な日立製作所と、経営再建中の東芝、そして台湾のホンハイ傘下に入ったシャープが足並みを揃えて“統一要求”を出すのには違和感があります」(先の財界人)

 これを支持する専門家は少なくない。ニッセイ基礎研の井出真吾上席研究員も、

「白物家電から原発まで幅広く手掛ける総合電機メーカーは少なくなり、要求が同じというのは無理がある。業種ごとの産業別で、統一要求を出す春闘は時代にそぐわないかもしれません」

 労組の要求に対して、大企業は3月13日に回答する予定だ。

週刊新潮 2019年2月21日号掲載

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