「池江璃花子」選手の急性白血病、復帰までの道のりは 祖母は“生きて”

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復帰まで2年

 上理事長によると、白血病の治療は点滴による抗がん剤治療が主になる。強い薬が大量に投与されるため、脱毛などの副作用もある。さらに、一時的に造血機能が低下するので、身体の免疫機能が極端に低下し、感染症などのリスクが高まる。そのため、衛生環境が保たれた無菌室での生活を余儀なくされる。こうした抗がん剤治療を1カ月おきに4~5回行い、都合、治療は約半年間に及ぶ。

「普通のサラリーマンなら、だいたい1年ほどで元通り回復するともいわれています。しかし、池江さんの場合はアスリート。特に競泳は水の中のスポーツであり、黴菌(ばいきん)に触れる機会も多いので、抗がん剤治療で免疫力が低下した池江さんが競技に復帰するには、かなりの時間がかかるはずです。普通に考えれば復帰まで2年はかかるでしょう」(上理事長)

 残念ながら、2020年東京五輪どころではないのである。しかし、

「24年の五輪であれば完全復帰して競技に挑むことも十分考えられます。ただ、白血病の治療では体力が極端に落ちてしまうため、再び世界的アスリートとして伍していくにはかなりの苦労があるでしょう。簡単に言ってしまえば、白血病治療というのは体を急速に老けさせるようなものなのです。筋力が落ちる、腎臓機能や肝臓機能が低下するなどの後遺症が残る場合もあります」(同)

 池江の祖母が語る。

「水泳なんてやんなくていいから、とにかく長生きして。私より先にいっちゃうなんて、いやだから。いつも“おばあちゃん長生きしてね”って言ってくれるんですよ。東京オリンピック、もうすぐチケットが発売されるでしょ? 当たらなきゃいけないから、100枚くらい買おうかなって思ってた。見たいって友達は連れていってやろうかなって思って。でも、オリンピックなんてもう出なくていい。生きてくれさえすれば」

 願いは誰も同じである。

週刊新潮 2019年2月21日号掲載

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