モリカケの次は統計不正 それで得をするのは誰なのか
今度は統計不正問題
厚労省をはじめとした省庁の統計不正問題が、今国会での重要テーマとなっている。政策などさまざまなことの基本となる統計がいい加減なのは許されることではないのだろうが、一方でこれが野党の攻撃材料となっていることには違和感を持つ向きも少なくない。不正が始まったのは昨日今日ではなく、民主党政権時代も同様だったからだ。
不正発覚後の対応の拙さについては議論がわかれるにせよ、冷静に見れば、自民党も公明党も民主党もみんな役所に騙されていた、というのが実態。
「一緒に問題を解決しよう」というほうが自然であって、現政権攻撃のネタにするのは何だかちょっと……というのが違和感の正体だろう。
ただ、野党からすれば、「モリカケ」も賞味期限が切れた感があったところに降って湧いた話だけに、これを使わないテはない、というのも本音だろう。この問題で、上手に失言を引き出せば、テレビに映る時間も長くなるというものだ。
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こうしてまた、与党と野党の不毛な攻防戦が繰り広げられる――というのはいつもの光景である。多額の税金がつぎこまれている国会で、なぜこういうことが延々と続くのか。それは日本の国会というシステムが抱える根本的な問題が関係している、と指摘するのは元経産省官僚の宇佐美典也氏だ。
宇佐美氏は新著『逃げられない世代――日本型「先送り」システムの限界』のなかで、問題の本質をわかりやすくときほぐして解説している。以下、該当箇所を引用してみよう。
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