文在寅で進む韓国の「ベネズエラ化」、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”
北朝鮮に国を売った文在寅
急速に盛り上がる米韓の「離婚話」に、韓国の親米派は死に物狂いで警鐘を鳴らす。保守サイトの趙甲濟(チョ・カプチェ)ドットコムを主宰する趙甲濟氏は「文在寅と金正恩、チャベスとカストロ(1)」(1月20日、韓国語)を書いた。
副題は「キューバがベネズエラを食いものにしたように、北朝鮮も韓国を食いものにするのか?」。以下が書き出しだ。
《文在寅大統領の頭の中には金正恩しかなく、「国まで(北朝鮮に)寄付する太っ腹な指導者」と、冷笑の対象になっている》(筆者訳)
「国まで寄付」とは文在寅政権が金剛山観光事業と開城工業団地を再開しようとしていることを指す。前者は2008年、立ち入り禁止区域に入った韓国人観光客が無警告で射殺されたために中断した。後者は2016年、北朝鮮の核・ミサイル実験に対抗して閉鎖した。
いずれも北朝鮮に外貨を送る事業であり、再開すれば国連の対北朝鮮制裁を破ることになる。北朝鮮の核武装を堂々と助けようとする文在寅政権こそは、国を売り渡す売国奴だと韓国の保守は断じたのだ。
見出しの「チャベス」とは、1999年にベネズエラの大統領に就任したウゴ・チャベス氏のことだ。キューバのフィデロ・カストロ議長(当時)を師と仰いで大量の原油を貢ぐ一方、キューバの情報機関員に助けられて統治した。
カストロ議長の言いなりになっていたチャベス氏と、金正恩委員長の言いなりの文在寅大統領は同じだ、とこの記事は訴えたのだ。
米国への反発で生まれた左派政権
趙甲濟氏はチャベス政権下のベネズエラが、いかに悲惨な道をたどったかも強調した。「フォーリン・アフェアーズ」の「Venezuela’s Suicide―Lesson From a Failed State(ベネズエラの自殺――失敗国家からの教訓)」を記事に引用した。その部分を要約する。
●ベネズエラは中南米で最も伝統がある強力な民主主義体制を誇っていた。域内のどの国家よりも社会安全網が整備され、すべての国民に無料の医療と高等教育への支援が約束されかけていた。メディアは言論の自由を謳歌し、政治体制も透明で平和的な政権交代も行われていた。
●そのベネズエラが、戦争をしたわけでもないのに、中南米で最も貧しく、最も新顔の独裁政権が君臨する国になった。医療体制は崩壊した。ごく少数のエリートだけが飯を食べ、今世紀に入ると中南米で最も多くの難民を生む国になった。政府の直接的な統制を受けない少数のメディアさえも弾圧を恐れ、政府の立場を代弁する。物価は25日ごとに2倍となり、2018年の上昇率は1000万%と予測されている。
確かに、チャベス前大統領から現在のニコラス・マドゥロ大統領に続くベネズエラの左派政権と、金大中(キム・デジュン)―盧武鉉(ノ・ムヒョン)―文在寅の韓国の左派政権には共通点が多い。
チャベス政権は、米国が主導する新自由主義的な経済政策に対する不満の中から生まれた。韓国初の左派政権である金大中政権も、IMF(国際通貨基金)と米国が新自由主義的な政策を韓国に押しつける中、それへの反発をテコに誕生した。
財閥への経営介入が始まった
だから、いずれの国の左派政権も、国民の「反米民族主義」を煽って人気を得ようとする。2006年9月の国連総会演説で、チャベス大統領がジョージ・W・ブッシュ米大統領を「悪魔」と呼んだことは有名だ。
2002年秋の大統領選挙の最中、盧武鉉氏も「反米のどこが悪いのか」と韓国人に呼び掛けた。2017年11月にトランプ米大統領が訪韓した際、米大統領の通る道にデモ隊が待ち構えるのを分かっていて、文在寅政権は規制しなかった。反米運動家は一斉にトランプ米大統領の車にモノを投げつけ、大統領専用車は反対車線を逆走して避ける羽目に陥った。
チャベス政権は社会主義的な路線を採用し、米国資本の石油会社を含め大企業を国有化した。文在寅政権も財閥の大株主である国民年金基金を通じ、経営への介入を始めた。
2月1日、同基金は大韓航空を傘下に持つ韓進KALに対し、「背任・横領罪で禁固刑を受けた人の役員就任禁止」を求めた。
文在寅大統領は1月10日の新年の記者会見で、具体的なデータを一切示さずに「いつのまにか我が国は、負の二極化と経済的な不平等が世界で最も激しい国になりました」と演説。
続いて「『1対99』社会や強者1人勝ちの経済と呼ばれる経済的不平等を解決しなければ、持続可能な成長は望めません」と語って「経営への介入」を正当化していた。
これに対し保守系紙の朝鮮日報は、社説「国民の老後の資金で政権のための手段を作った文大統領」(2月2日、韓国語版)で、「政府の息のかかった年金基金による民間企業の経営への介入が起こるとの恐れが現実のものとなった」と批判した。
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