社長交代でも「オリンパス」を揺るがす“巨額賠償”“ファンドの意向”の重大事案

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マック・コーヒー裁判

 とはいえ、オリンパスは通期では黒字を予想している。しかし、この問題の剣ヶ峰はこれからだと指摘するのは、オリンパスの現役社員だ。

「あの96億円は刑事事件による罰金で、民事裁判の結果はまだ出ていません。目下、米国で約50件の民事訴訟を起こされ、そのうち20件で裁判が進行中。米国では、日本にはない懲罰的損害賠償制度があり、賠償額が増大している。“マック・コーヒー裁判”の例もありますから、すべてに敗訴したら……」

 マック・コーヒー裁判とは、1992年に米ニューメキシコ州で老婆がマクドナルドでコーヒーを買って、それをこぼして火傷を負った。その後、彼女はマクドナルドを訴えて、約2億7千万円を請求した例もある。オリンパスも巨額賠償を強いられる可能性があるのだ。

「さらに、オリンパス株を約5%保有する米国ファンド、バリューアクト・キャピタル・マネジメントの動向も重大事案の一つです」

 こう語るのは、オリンパスの別の社員だ。

「すでに、バリューアクトから役員1人の受け入れを了承しています。実は、フィナンシャル・タイムズが1月11日付の記事で“バリューアクトは、現在のオリンパス役員全員の退任を求めた”と報じていた。笹さんは社長を退いた後、会長には就任せずに取締役として留まる。社内では“ファンドの意向が働いた人事では”と囁かれています」

 で、オリンパス広報・IR部に聞くと、

「バリューアクトから、社長交代を要求された事実はございません」

 創業100周年も、盛大に祝えるようなムードでは決してないのだ。

週刊新潮 2019年2月7日号掲載

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