社長交代でも「オリンパス」を揺るがす“巨額賠償”“ファンドの意向”の重大事案
今年、光学機器メーカー「オリンパス」は創業100周年を迎える。2011年の巨額損失隠蔽事件で、一時は経営危機が囁かれたものの、主力だったカメラ事業を縮小して、医療機器事業に注力したことで業績を回復している。だが、これで明るい未来が待っているとは言い難い。なぜなら、経営基盤を揺るがしかねない二つの重大事案に直面しているからだ。
1月11日の記者会見で、オリンパスの笹宏行社長(63)は4月1日付で退任し、竹内康雄副社長(61)を昇格させると発表した。その際、記者から退任と赤字決算との関係を問われると、笹社長は憮然とした表情で“関係ない”と答えたのである。全国紙の経済部デスクによれば、
「オリンパスは、18年9月中間決算を54億円の赤字と公表していました。前年同期は298億円の黒字。赤字に転落した理由は、笹さん肝煎りの事業に関する不祥事が原因なので、カチンときたのでしょう」
それは医療機器事業、特に内視鏡に関するものだ。ちなみに、オリンパスは消化器内視鏡では、世界シェアの70%以上を占めているという。
「12年から15年にかけて、欧米でオリンパス製の十二指腸内視鏡を使って施術した患者約190人が院内感染し、米国では少なくとも35人が死亡したと報じられています。事態を重く見た米司法省が調査に乗り出し、オリンパスが一連の事実を把握していたにもかかわらず、報告しなかったことが判明。オリンパスは罪を認めて昨年12月に司法取引をしました」(同)
結果、96億円もの罰金を支払ったオリンパスは、18年9月中間決算が赤字に転落したわけだ。また、この内視鏡は国内で販売、使用されていなかったが、オリンパスは報告を怠った事実を認めて厚労省へ“詫び状”を提出している。
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