“徴用工”で巨額賠償を請求なのに… それでも日系企業が大人気という韓国就職最前線
若者の失業率は約15%
韓国国内でとりわけ批判を浴びているのは、財閥依存からの脱却を掲げる文大統領が推し進めた「最低賃金の引き上げ」だ。
元「週刊東洋経済」編集長で経済評論家の勝又壽良氏によれば、
「文政権は最低賃金を昨年だけで16・4%、今年から10・9%引き上げています。賃金が3割近く上昇した結果、たとえばコンビニでは従業員の給与がオーナーを上回る異様な状況が起きています。また、賃金アップに応じないと罰則が科されるため、経営に窮した企業は従業員を解雇せざるを得ません。中小企業のみならず大企業への打撃も甚大。従業員の平均年収が約1千万円とされる現代自動車も、数百億円規模の人件費増に見舞われると指摘されている。“人件費倒産”に至る危険性も高まっています」
加えて、住宅ローンやクレジットカードの代金、奨学金の支払いなどを含む「家計債務」も昨年150兆円を突破。1世帯当たり約800万円の借金を背負っている計算だ。
「年金が充実していない韓国では高齢者が借金で生活費を賄うことも珍しくない。就職できない若者も同様です。当然ながら、多額の借金を抱えれば個人消費も伸びません」(同)
元駐韓大使の武藤正敏氏が言葉を継ぐには、
「財閥を目の敵にして最低賃金や法人税の引き上げに踏み切ったことがそもそもの間違いでした。財閥が苦しめば、下請けの中小企業も立ち行かなくなる。結果、多くの企業が雇用を躊躇して失業率が高まる悪循環に陥った。なかでも、若者の失業率は10%近くに達しています。就職を諦めた学生を含めれば15%ほどに上るのではないか」
労組と市民団体に支えられ、弱者に寄り添う「庶民派大統領」の政策が企業を窮地に追いやり、リストラの嵐を呼ぶとは大いなる皮肉である。
文政権の失策は韓国で「雇用惨事」と揶揄され、就活中の若者たちは、そのしわ寄せで「超氷河期」に苦しんでいる――。
(2)につづく
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