【アジア杯総括】勝敗を分けた森保監督の致命的采配ミス、次に絶対起用すべきはこの5名

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なぜ室屋成を起用しなかったのか?

 今回の日本は大迫への依存度が高く、控えの選手にも流れを変えられる選手が不在だったことが決勝戦で証明された。ケガで出場を見送った中島翔哉、守田英正、三竿健斗らがいれば、また違った選択肢が森保監督にはあったかもしれない。

 彼らの招集は、3月以降のキリンチャレンジ杯と、6月のコパ・アメリカに期待するとして、問題は大迫の代わりとなりえる選手の発掘が急務であることだ。

 森保ジャパンになってから招集されていないリオ五輪世代(クラブの都合により五輪には出場できなかった)の久保裕也(ドイツ/ニュルンベルク)、同じくリオ五輪世代で最終メンバーからは漏れたものの、シント=トロイデンVV(ベルギー)で2桁得点を記録している鎌田大地らは、一度は呼んで欲しい選手だ。

 国内組に目を向ければ、浦和へ移籍した杉本健勇、鹿島のACL優勝に貢献してMVPを獲得したものの、同大会での負傷により今大会を辞退した鈴木優磨らが有力候補となるだろう。今年9月から始まるカタールW杯のアジア予選だが、それまでにどれだけ多くの選手をテストして日本代表のパイを広げられるか。来年に控えた東京五輪のメンバー選考も含めて、森保監督の選択に注目が集まることは間違いない。

 最後に私的な意見として、カタールとの決勝戦では酒井宏樹が前半に2度ほど簡単なパスでありながらトラップをミスしてタッチラインを割った。攻撃でも彼本来の持ち味である思い切りの良い仕掛けが見られなかった。イラン戦での負傷の影響だと思われるが、後半開始と同時に酒井に代わり室屋成を起用するべきだったと思っている。

 2点のリードを許していて、なぜ攻撃的な選手ではなく守備の選手かという疑問もあるだろう。しかし現代サッカーでは、サイドの選手の攻撃に関わる比重は少なくない。室屋の縦に仕掛けるアグレッシブなプレーは、停滞していたサイドアタックを活性化できると期待したからだ。北川と武藤はグループステージでの起用、乾はW杯も含めてプレーをチェックされている可能性が高い。だからこそ出番の少ない室屋は、ジョーカーになるのではないかと期待した次第である。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。「月刊サッカーダイジェスト」の記者を振り出しに、「週刊サッカーダイジェスト」(隔週刊期含む)など、サッカー誌各誌の編集長を歴任。2010年に退職し、フリーの記者としてW杯などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。現在は日刊ゲンダイ、週刊朝日、超WORLDサッカー!、365日FC東京など様々な媒体に寄稿。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月10日掲載

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