【アジア杯総括】勝敗を分けた森保監督の致命的采配ミス、次に絶対起用すべきはこの5名

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結局“タレント不足”の日本代表

 アジアカップUAE2019は、カタールの初優勝で幕を閉じた。2月1日の決勝戦では、日本の守備が混乱している前半なかばで2点のリードを奪い、反撃を南野拓実の1点に抑える完璧な試合運びでアジアの頂点に立った。

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 7試合で得点は19点、失点は日本戦で許した1点のみ。決勝トーナメントでは難敵イラクと韓国を1-0の僅差で競り勝つ勝負強さと、グループステージでは北朝鮮に6-0、準決勝の地元UAE戦では4-0と大勝するなど、チャンスと見るやたたみかけるような攻撃力を発揮。優勝に値する、攻守ともに充実した内容での栄冠だった。

 そんなカタール相手に悔やまれる試合をしたのが日本だった。グループステージでは青山敏弘ら国内組のコンディションが上がらず、森保一監督も選手のやりくりには苦労した。それというのも、アジアカップに備え選手を休ませるため、J1リーグは12月1日に終了。天皇杯も鹿島がクラブW杯(ACL)への出場を控えていたため12月9日に終えるなど、スケジュールに配慮したことが裏目に出た。

 そして決勝戦では、遠藤航の負傷も痛かった。ハーフタイムのことだった。ピッチでは控え選手がボールを蹴って後半戦の出場に備えていたが、遠藤と乾貴士の姿がなかった。通常では、後半開始から交代で出場する選手はロッカールームで監督からの指示を聞くことが多い。2点のビハインドのため、2人を同時投入で攻守にテコ入れをするかと予想した。負傷の遠藤はプレーできるのかどうか心配だったが、彼が戻れば攻守ともに安定するだろうとも期待した。

 しかし森保監督は動かなかった。前半の失点を悔やんでも仕方がない。ならば2点を追撃するために攻撃のスイッチを入れ直すしかないのではないか。ロシアW杯決勝トーナメント1回戦のベルギー戦では、後半に2点のリードを許したベルギーのロベルト・マルティネス監督は、21分にマルアン・フェライニとナセル・シャドリの2人を同時に投入。するとフェライニが同点ゴールを決め、アディショナルタイムにはシャドリが決勝点を奪った。

 日本は2点のリードをひっくり返された苦い経験があり、森保監督はそれを現場で経験している。にもかかわらず「動かなかった」のは、新聞紙上では森保監督の交代はいつも遅いと指摘されていたが、「動けなかった」ことも推測できる。なぜならベンチには、“ジョーカー”となる選手がいなかったからだ。

 グループステージでは北川航也を大迫勇也の代わりに起用したものの、ゴールという結果を残していない。武藤嘉紀はウズベキスタン戦で同点ゴールを決めたものの、彼と伊東純也はスピードが武器だけに、スペースを消された展開では持ち味が生きない。そして乾だが、所属クラブで出場機会に恵まれていないせいか、ロシアW杯のようなキレがない。このため森保監督は“現状でのベストメンバー”である大迫であり堂安律、原口元気、南野を引っ張るしか選択肢がなかったのだろう。

 ただ彼らにしても、前半はカタールの巧妙な守備にスペースを消され、ボールを保持したり、サイドから崩したりすることはできなかった。このため前半の日本は、森保監督が掲げる「縦に速いサッカー」を披露することはできなかった。

 大迫に縦パスを入れても、カタールのぶ厚い守備にボールをキープできない。仕方なく柴崎岳はサイドへ散らしながらチャンスをうかがったものの、足の止まっていた日本は、足下から足下へとパスはつながったが、それは各駅停車のようなサッカーで、カタール守備陣を崩すにはいたらない。前半はスペースにパスを出して選手を走らせるプレーやスプリントする選手が皆無だったことが、日本の攻撃が低調だったことを証明している。

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