Amazonプライム 松本人志「ドキュメンタル」はなぜ地上波より遥かに面白いのか

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吉本と松本にはウマミのある“ビジネス”

 松本にとってAmazonプライム・ビデオは、自由な創造を可能にする“新天地”なのだろう。しかしながら現状は、単に制限がない下ネタばかりの“無法地帯”だと疑問視する声も少なくない。

 そうした“世論”に反応したのか、松本はシーズン4で「下ネタではなくアート」と主張、一部メディアは批判的に報じた。

 とはいえ、地上波の旗色は悪いと言わざるを得ない。Amazonプライム・ビデオの制作費は、民放キー局より潤沢なのだという。これが時代の趨勢なのだ。

「Amazonプライム・ビデオだと、1シーズンで制作費が約2億円だと言われます。『ドキュメンタル』は1シーズンで4~5回が普通ですから、1本あたり4000万円から5000万円を掛けられるわけです。一方、キー局なら、ゴールデンタイムのバラエティは1時間番組で2000万円から2500万円で制作しています。そして『ドキュメンタル』は、地上波と同レベルの予算で作れます。つまり極端なことを言えば、5000万円マイナス2000万円の3000万円は、吉本興業の利益とすることだってできるのです」(同・制作スタッフ)

 地上波で本領を発揮できない松本人志と、キー局の予算削減に悩んでいた吉本興業にとって、Amazonと手を組むことは、まさに渡りに船だったのだ。

「クレジットは制作が『吉本興業』となっています。実質的には共同テレビが担当していますが、キー局が制作しているわけではないので、利益率は上がります。バラエティ番組なら、吉本は他社には負けないキャスティングが可能です。おまけに『ドキュメンタル』は『松本人志プレゼンツ』と銘打っています。出演依頼を断った芸人もいましたが、普通は、なかなか出演依頼を断れません。松本さんにはギャラを手厚くしても、後輩には格安のギャラで働かせるなど、自社制作なら何でも自由自在です」(同・制作スタッフ)

 吉本興業はドラマの制作にも乗り出している。又吉直樹(38)の「火花」を、やはりネット配信のNetflixで全10話を放送。この再編集版がNHKでオンエアされたことも話題となった。

 だが、ドラマはバラエティよりも経費が必要なため、なかなか旨味のあるビジネスにはならないという。

「ドラマでは視聴者から『予算がなさそう』と見透かされると、絶対に見てもらえません。予算をケチったり、コストパフォーマンスを追求すると、番組のクオリティが低下してしまうんです。つまり吉本にとって、ドラマは注力したいコンテンツではないのです」(同・制作スタッフ)

 Amazonライム・ビデオでは、今田耕司(52)と東野幸治(51)が2017年から「今田×東野のカリギュラ」を開始。18年9月は松本人志が更に「HITOSHI MATSUMOTO Presents FREEZE」の別シリーズをスタートさせた。

「浜田雅功さんも17年から『戦闘車』という番組を担当しましたが、こちらは不評だったようで、吉本は『何としてでも、松本だけでなく浜田もAmazonプライム・ビデオでヒット作を作る』と燃えているそうです」(同・制作スタッフ)

 ダウンタウンの2人が、地上波から“撤退”するというシナリオも、決して非現実的なものではないという。

週刊新潮WEB取材班

2019年2月7日掲載

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