「文在寅」と韓国国民を分断せよ――元駐韓大使が説く“反日政権”との付き合い方

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元駐韓大使がひもとく「韓国」反日の裏面史――武藤正敏(2/2)

 慰安婦・竹島に、徴用工・レーダー照射事件が加わり、日韓関係は戦後最悪の状態にある。国民感情を前面に出し、国際常識を無視して日本に譲歩を迫るのはいつものことだが、文在寅大統領は日韓基本条約そのものを否定する。今、必要なのは彼と韓国国民を分断させる外交だ。

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 昨秋、韓国側は突如、海自による国際観艦式での旭日旗の掲揚自粛を求めてきた。「戦前の日本軍を連想させる」との理由からだが日本は戦後すでに2回、堂々と旭日旗を掲げて韓国主催の観艦式に参加しているし、その時は何の問題も起きなかった。

 日本を重視する大統領なら、このような行動を止めるはずだが、現在の文在寅政権は逆に、煽っている。以前の大統領が反日に転じた背景には、日本の政治家の歴史認識についての発言や靖国参拝等に失望した、などという彼らなりの理屈があった。初めから反日だった大統領は初代の李承晩くらいではないか。

 ところが、現在の文在寅氏は、就任当初から反日的な政策を取り続けてきた稀有な大統領なのである。それは、今年の年頭の記者会見を見ればわかる。文氏は、日韓の共通認識であった、基本条約がすべての問題を解決したことを否定した。さらに、日本に謙虚になれと言った。これは、日本は韓国の言うことをすべて聞けということと同義語ではないか。

 文氏は、徴用工問題でも日韓関係を崩壊させつつある。大法院が新日鉄住金に賠償を命じると「司法府の判断を尊重する」として、三権分立を強調し、大法院判決という既成事実を盾に、日本に対応を促そうとしているのだ。

 しかし、この判決自体、文大統領が仕組んだものだ。彼自身がかつて原告弁護団に名を連ねており、一昨年の就任100日目の記者会見では日本企業への個人請求権は「消滅していない」と述べ、歴代大統領の解釈を初めて変更した。さらに、大法院長に、左翼色が強く、大法院裁判官の経験すらない地方裁判所所長を任命した。今回の徴用工判決には「歴史の見直し」と「積弊の清算」を唱える文氏の政治信念が反映されている。

 徴用工判決は、慰安婦問題よりもはるかに深刻な影響を日韓関係に及ぼす。判決理由として「日本の植民地支配は不法であるから、過酷な労働、精神的苦痛に対する慰謝料は請求できる」とした点は大きな禍根を残すだろう。

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