OB、学生の声から知る「グローバル学部」の実情 気になる就職先は…
ICU、明治、立教の事情
ICUはどうだろう。
「1、2年の授業は、宿題で英文を読み、英語で意見を発表してディスカッションする形式が多かったです。また3年になるまで専門を決めず、1、2年次は広く浅く学びます。NGOや学生団体などの課外活動に力を入れる学生が多く、将来もNGOやNPOで働きたいという人が多い。もちろん外資系企業に目を向ける人も多いです」(OBの話)
明治の国際日本学部は、
「1、2年は英語の必修が週6コマで、出席も厳しい。2年では英語で小論文を書く授業があり、英語で論理的に文章を書く力がつきました。ただ英語が好きじゃないと大変でしょうね」
と同学部2年生。続いて、立教の異文化コミュニケーション学部3年生の話。
「必修の留学を自分の大学生活にどう結びつけるのか、英語を使って学ぶ授業があるほか、第2外国語に会話重視の授業もあり、2年前期は自分の留学先の言語の授業が週3回あります」
最後に立教の経営学部国際経営学科OBの話。
「経営学など専門の授業も、多くは英語で学び、留学生とのグループワークでプレゼンテーションする授業もあり、英語を使ってどう説得力のある説明をするかを学べます。帰国子女も多く、積極的に意見を言う人が多いですね」
早期離職のリスク
さて、こうした学部に入学したとして、就職はどうだろうか。就職コンサルタントの福島直樹氏は、
「国際系学部の学生は、外国人留学生、日本人の帰国子女、日本で生まれ育った日本人に分類されます」
と言って、続ける。
「読者が気になるのは、2番目と3番目だと思います。彼らの良い点は、自由な発想ができる、物怖じしない、などで、将来的に良い意味で組織を変革してくれそうな期待感がもてます」
ただし、である。
「日本的な組織では浮いてしまう傾向もある。帰国子女などはマナーを含め日本的価値観をばかばかしいと感じ、先輩に好かれなかったりで、すぐ離職してしまうことも。日本育ちの学生にもそういう傾向があると思う。国際系学部には帰国子女が多く、どうしても影響を受けるのです。90年代に慶應のSFCが注目されたときも、個性的な卒業生が有名企業に就職し、早期離職したことがありました。最近、企業の人事は、出身大学、学部を含めた様々な情報から、どんな人物が早期離職するか、データを集めて分析している。保守的な大企業の志望者は、ベーシックな学部を選んだほうが無難かもしれません」
だが、断定はできない。
「今後AIも発達し、世界がどう変化していくかわかりませんから。それに国際系学部出身者の良い点をもちながら、周りに配慮できる学生もいる。そういう学生は早稲田、上智、ICU、国際教養大など上位大学に多い。ただ、立教経営学部国際経営学科の学生は、シャープな話し方をするという印象があります」
自分に合った学部を選び、将来の進路をしっかり見据えて、日本的な配慮を失わないのであれば、強みになる可能性はありそうだ。
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