がん専門医が「がん」になって分かったこと 早期発見、人任せでなくセルフチェックを

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早期発見、人任せではダメ

 手術に話を戻しましょう。膀胱がんの手術は検査も兼ねて行われます。「TUR-Bt」(経皮的膀胱腫瘍切除術)と呼ばれる手術なのですが、がん組織そのものを切りながら、他にもがんができていないか、何カ所か組織を取って病理検査を行うのです。

 その結果、私のがん細胞は、治療の難しさを示すレベルで〈ハイグレード〉という結果が出ました。「悪性度」が高いという意味です。見た目はきれいに取れていますが、がん細胞というものは、どこに残っているか分かりません。取り切れていなければ再発の可能性があるということです。ですから、これから3カ月に1度は内視鏡を使った検査を受けないといけません。気が重くなりますが、がんとの“闘い”は、これからなのです。

〈手術を終えた中川氏は、正月を挟んですぐに職場復帰する。休みを取ったのは手術の時だけで、今もフルタイムで患者を診たり、啓発活動などに飛び回る毎日だ。がんになって改めて感じたのは、がんの「早期発見」を人任せだけにしてはいけないということだった〉

 がんは症状が出にくい病気です。ましてや早期ではほとんどの場合、何も感じません。それを自分で見つけ、早い措置が取れたのは私が医師だったからといえます。お酒好きで脂肪肝が気になっていたことも、運が良かったと思います。一般の人からすると参考にならないケースかも知れませんが、最初に影を見つけた時に、すぐ精密検査を受けるべきだったことは間違いありません。

 乳がんが原因で亡くなった小林麻央さんもブログに、〈あのとき、もっと自分の身体を大切にすればよかった〉と書いているように、がんは少しの注意で生死が分かれることがあります。しかし、日本人は自分の健康にあまり気を付けていません。

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