大人がハマる「痛くない」キャラクターグッズ ドラゴンボールの本革財布は2万円超

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ポイントは“さりげなく”

 たとえば、先に紹介した「ドラゴンボール」財布にも“ならでは”の遊び心が。よく見るとボタンが四星球(スーシンチュウ)になっているのだ。

 こうした“さりげなさ”が求められるのは、女性向けのグッズについても同様だ。セーラームーンのマルチバッグ(現在は予約終了)は、A4サイズが入るスクエア型でビジネスバッグとしても使えそうなシンプルなデザイン。バッグの表面にはゴールドの三日月と「Sailor Moon」の英字がワンポイントとして飾られており、チャックの引き手(掴むところ)にはルナ(セーラームーンに登場する猫のキャラ)の型押しが施されている。中生地にはセーラー戦士たちと守護星マークが散りばめられており、開閉するたびに作品の世界観を堪能できるというわけだ。

「キャラクターやタイトルによってファン層が全く異なるため、一概には言えませんが、基本的に女性ユーザーは“普段から使用できるかどうか”を男性以上に厳しい目で判断されています。バッグやアクセサリーだと特にその傾向が強く、我々も実用的かどうかを重視して商品開発に取り組んでいるのです。もちろん、同時に作品の世界観をちゃんと表現できているかどうかも問われるので、実用性と世界観の折り合いをつけながらデザインに落とし込んでいます」

“さりげなさ”を追求する一方で、こんなアイテムも。一見すると普通のパーカーだが、ピンク地の両胸には青いてんとう虫の模様が……。見る人が見れば「ジョジョの奇妙な冒険第5部・黄金の風」の主人公・ジョルノ・ジョバァーナのデザインだとわかる、といった具合だ。

「こうした『劇中と同じホンモノ感』や『なりきり感』が重要視されるキャラクターもあります。そういったキャラクターで商品を展開する際は、むしろ主張が強めのデザインを意図するわけです」

今や「玩具<服」のバンダイ

 とはいえ、バンダイが手掛けるこうした大人向けキャラグッズは、所詮は玩具という本業ありきの片手間ビジネスだろう……と思いきや、その認識は誤りのようだ。

「『バンダイ=玩具』というイメージが世の中では普及していますが、年間で投入している商品点数でいうと、実は玩具よりもはや服の方が多いのです。また、商品担当者の趣味や嗜好によってアイテムの方向性が当然異なってくるため、バンコレ!ではキャラクターの担当を1人に絞ったりはせず、各開発担当社員が自由に商品の提案をできるようにしています。そのおかげで、ひとつのキャラクターでのラインナップの幅も広がり、マンネリ化を防ぐことができているのです」

 近年はリアル店舗においても、アニメとファッションアイテムのコラボを見かけるようになった。ファッションビル内にアニメのキャラクターショップが出店されたり、百貨店限定のコラボアイテムが発売されたり、ハイブランド店がディスプレイにアニメキャラを用いた例もある。

 これまでの「キャラグッズ=痛い」という常識は覆り、大人も後ろ指を指されることなく、好きなキャラクターのアイテムを持ち歩ける時代がやってきたようだ。

取材・文/松嶋千春(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年2月1日掲載

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