平成最後「芥川賞」候補者になって(古市憲寿)
芥川賞をもらえなかった。もちろん残念ではある。その時の心境を忘れないように、ツイッターにはすぐに「がーーーーーん」とつぶやいた。まがりなりにも「芥川賞候補作家」としては、信じられないほど貧弱な語彙だが、それが率直な想いだったのだから仕方ない。
もっとも見事芥川賞を受賞した上田岳弘さんも、受賞がわかった時の気持ちを尋ねられて「受賞したな」と率直な言葉を漏らしていた。作家性と、咄嗟に出てくる言葉に、あまり関連性はないのだろう。
僕の場合、選考会当日は友人と焼き肉を食べた後、帰宅途中に報告の電話をもらった。...