韓国に対して相変わらず「遺憾」連発 日本外交の背後にある深刻な問題

国際 韓国・北朝鮮

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外務省の偏向

 問題は、民間のみならずプロ中のプロであるべき外務省ですら同様の立場を取り続けたことだという。

「日本で最高の専門家集団と見なされ、外交方針を決めるに当たって中心的な役割を果たすと思われている外務省はどうだったのだろうか。
 何と『離米従中などはあり得ない』と言い続けたのだ。いくらその事実を指摘しても、外務省の専門家は『日本と完全に同じ立ち位置を韓国に求めるのは無理がある』などと『ほんのちょっぴり中国の言うことを聞いているだけ』と説明していた」

 しかし、冷静にファクトを分析すると、その頃の韓国はすでに「中国の言いなり」だったと鈴置氏は言う。

「さすがに日本政府の中にも『外務省の偏向分析』に気が付く人が出た。その頃、他省庁のアジア専門家が語った『外務省が韓国を読み間違う理由』は以下の2点だ。

・外務省は北東アジア外交を日米韓の3国協力を基盤に組み立てている。そこから韓国が外れれば設計図が崩れてしまう。
・外務省の基本方針は対米追従だ。日本より力がない韓国が、米国から独立するなどあってはならない。

 要は『自分に不都合な現実は認めない』ということだ。役人は他の省庁の悪口を記者に吹きこむものだが、事実と関係なく『あり得ない』と言い張る外務省の人々と話すほどに、この説明に納得することになった。同時に、自分の都合通りに世界が動くと考え、米国との戦争を誘発した『松岡外交』の伝統は未だ健在だと感心もした」

 鈴置氏に対して、外務省の「朝鮮半島専門家」から「ご指摘の通り、韓国は中国の言いなりの国になっていましたね」と連絡が来たのは、なんと2015年になってからだという。
 しかし、この種の偏向は決してなくなっていない、と鈴置氏は指摘する。
「2018年に朝鮮半島が宥和モードに入ってからも、情報操作は形を変えて続いた。北朝鮮や韓国に近い専門家からは『北朝鮮を敵視する安倍外交は失敗した。宥和策をとる文在寅政権に学べ』との声があがった」

韓国の宥和策が成功したとの根拠はどこにもないにもかかわらず、である。こうした例を見ると、果たしてどこまで専門家が正しいのか、少なくとも国民はチェックの目を持つ必要があるようだ。鈴置氏は、こう述べている。

「利害関係者たる専門家よりも、国益を考える素人の判断の方がよほど確かなのだ」

デイリー新潮編集部

2019年1月29日掲載

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