「児童虐待」は27年連続で増加の異常事態、こんなに沢山ある根本的に減らない理由

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児童相談所からの通報が不十分

 児童虐待防止法は、「児童」を「18歳に満たない者」と定義しているため、中学・高校生も対象として含まれている。

 そして、前述の児童相談所への虐待相談対応件数13万3778件のうち、内容別で見てみると、「心理的虐待」が7万2197件と最も多く、「身体的虐待」が3万3223件、「ネグレクト」が2万6818件、「性的虐待」が1540件だった。

 一般的に児童虐待というと、身体的虐待をイメージしがちだが、実際のところは、心理的虐待がほかに比べて突出して多い。それは何故だろうか。

「心理的虐待が多い理由としては、子どもの前で父親が母親、もしくは母親が父親に対して暴力をふるう『面前DV』の増加が要因のひとつ。特に近所の人やDV被害者からの通報を受けた警察が、児童相談所に通告するケースがここしばらく増えている傾向にあるようです」

 一方で、事件性があるにもかかわらず、児童相談所から警察への通報が十分になされていないという実情もあるようだ。

「児童相談所は福祉機関なので、基本的に家族を守ろうとする組織です。警察に通報すれば、家族内の関係が壊れる恐れがあり、福祉の理念に反する場合もあります。その葛藤もあってか、客観的に見て明らかに犯罪とみなせる状況でも児童相談所が自ら抱え込むケースも決して少なくありません」

 ただし、2008年4月、「2007年改正児童虐待防止法」の施行により、裁判所の許可状に基づく臨検・捜索が可能になった。これにより、児童相談所はいざというとき、警察に頼らなくとも介入できる権限を与えられたのだ。

 にもかかわらず、2016年度の厚生労働省の調査では、児童虐待により77人の子どもが亡くなっている(心中の28人含む)。

 昨年3月には、東京都目黒区で船戸結愛(ふなとゆあ)ちゃん(当時5歳)が命を落としたことも記憶に新しい。このときは、以前住んでいた香川県の児童相談所が虐待の実態を把握していながら、危険性を判断するアセスメントシートを残していなかったために、転居先の東京の児童相談所に情報が引き継がれず、適切な対応がなされなかった。

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