ボーっと生きてんじゃねえよ! NHKがバラエティ番組で攻める本当の理由
スポンサーへの忖度が必要ない
2018年の新語・流行語大賞のトップテンにランクインした「ボーっと生きてんじゃねえよ!」。これは、NHK総合のクイズバラエティ番組「チコちゃんに叱られる!」でメインMCを務める女の子キャラクター・チコちゃん(5歳)が、曖昧な回答をしたゲストを叱る際に使う決め台詞だ。これまで言葉遣いには厳しかったNHKで、まさかこんな荒っぽい台詞が聞けるとは、以前なら考えられなかったことだろう。今、NHKでこうした“攻めのバラエティ番組”が増えている理由について、テレビ解説者・コラムニストとして活躍する木村隆志氏に聞いた。
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NHKがお堅いテレビ局と呼ばれたのも今は昔。近年は、斬新なバラエティ番組が続々と作られるようになった。
たとえば、ネットと連動した視聴者参加型の大喜利バラエティ「着信御礼!ケータイ大喜利」(05~17年)を皮切りに、沢村一樹扮する「セクスィー部長」でお馴染みのコント番組「サラリーマンNEO」(06~11年)、若者に人気のタレントを起用した科学バラエティの「すイエんサー」(09年~)、他局アニメのパロディも取り入れるコントバラエティ「LIFE!~人生に捧げるコント~」(13年~)、そして昨年放送開始の「チコちゃん」など、枚挙にいとまがない。
「NHKがバラエティに力を入れるようになったのは、2005年頃からでしょう。当時、民放のバラエティ番組はなかなか数字が取れず苦戦し始めていました。そんな状況のなかNHKは、バラエティ分野に本腰を入れだしたのです。最近はパブリックイメージが逆転し、民放の方が生活情報やドキュメンタリーなどの真面目な番組が多くなっています」
民放のバラエティ番組の人気が下火になった原因のひとつには、スポンサーの存在が大きいという。
「民放はどこもスポンサーの意向を踏まえて番組を制作しています。一方、NHKは外部との調整が必要ないので、攻めた番組を作ることができるのです」
今やテレビよりも、SNSやニュースサイト、動画サービスなどネットの宣伝効果のほうが大きいともいわれる時代。民放テレビ各局は、スポンサーと折り合いをつけながら番組制作をしているため、かつてのNHKのような真面目な番組が増えてきているのだ。
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