2万円チケットも即完売 ARイケメン「ARP」が熱狂的女性ファンを虜にする理由

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すべてリアルタイムでキャラを動かしている

 ARPの技術は、言わば“デジタル人形浄瑠璃(三味線に合わせて人形を操る演劇)”。従来のように、あらかじめ用意された映像をただ再生するのではなく、ホログラフィックスクリーンを使用したCG映像を使い、すべてリアルタイムでキャラを動かすことができる。

「モーションキャプチャー(現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術)で俳優さんが動き、声優さんや歌い手が声をあてて、さらにキャラの表情を制御するオペレーターがコントロールしています。ライブの際はステージの裏にスタジオを作り、そこに演者が集結してリアルタイムで一斉に動き、歌い、演じるという仕組みです」

 しかし、ダンスなど速いモーションが重なると、動きのズレが生じてしまうことなどもありえそうだが、そのあたりの心配はないのだろうか。

「ファンの方々は、ARPを普通のアーティストと同じように認識しています。そのため、一瞬でも“あれ…?”という違和感を与えないよう、ARPの滑らかな動きについては日々研究を重ねています。中の人の熟練度も当然上がっていくので、二人羽織のようにどんどん喋りと動きの息が合っていくんです。キャラが喋りたそうにしていたら前に出て行くとか、次こういう動きをしそうだなとか、見ていて感心するほどの巧みな技ですよ」

将来的にはライブのハシゴも可能に?

 内田氏によれば、ARPが秘める可能性はまだまだこんなものではない。現状は通信速度の問題があり難しいが、今後さらにインフラが整えば、ARPの遠隔操作が可能になり、北海道ライブの数時間後に福岡でライブを行うことも、理論上はできるようになるという。

 ARPのシステムそのものは、他のコンテンツでも広く使えるよう販売されているため、今後は好きなアニメキャラが実際にステージに立ち、ファンに話しかけてくる…なんてこともあり得るだろう。

「せっかくホログラフィック演出をやっているので、もっとファンの方がステージ演出に参加できるようなライブができればと思っています。たとえば、アプリで観客の声援を集めて衣装をチェンジさせたり、ステージ上にドラゴンを登場させたり…そういう可能性がARアーティストにはいくらでも眠っているハズ。アニメといえばジャパンとなったように、2次元によるショー文化が広がっていったらいいですね」

 完璧なルックスに歌、ダンスに加えて、絶対にノースキャンダルのスーパーアイドルとあらば、いずれはテレビの歌番組でその姿を見る日もくるだろう。ARアイドルたちが芸能界を席巻する日も、そう遠くないかもしれない。

取材・文/ジョージ山田(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年1月22日掲載

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