仏にとって両刃の剣 ゴーン逮捕“報復”で「JOC会長」捜査

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「どうにも今回の件は“カルロス・ゴーン逮捕”に対するフランス側の“報復”としか思えないんですよ」

 とボヤくのは、日本オリンピック委員会(JOC)のさる幹部である。

 1月11日付仏紙ル・モンドは、東京五輪招致活動に不正があったとして仏司法当局が竹田恒和JOC会長(71)を贈賄容疑で訴追する手続きに入ったと報じた。平たく説明すると、“国際陸上連盟前会長がリオ五輪の開催地決定の際に賄賂を受け取った。その捜査で、前会長の息子と関係があるコンサル会社に東京五輪招致委員会が約2億円を振り込んでいたことが判明した。これも怪しい”というのだ。

 この父子を巡る汚職事件が明るみに出たのは2016年のことだ。その際、関与を疑われたJOCは、調査チームを設け、後に竹田会長自ら“シロ”であると宣言している。

 仏当局は、2年前から捜査が続いていたとし、ゴーン逮捕との関係を否定しているというが、

「いったんは決着がつき、国際オリンピック委員会(IOC)のお咎めもなく2年以上沙汰止みだった案件ですからね。ゴーンのせいで蒸し返されたとしか思えません。フランスのスポーツ関係者も困ってますよ」

 実は、竹田会長の立件は、フランスにとって両刃の剣なのである。

「東京五輪の次、24年の五輪はパリで開催されます。五輪ブランドに傷が付くと、当然、パリ五輪にも負のイメージが付いてしまいます」

 ちなみに、パリが最終的に開催地を争ったのはロサンゼルスだけで、そのロサンゼルスも28年の開催地に決定した。ゆえに、イスタンブール、マドリードと三つ巴の争いを勝ち抜いた東京ほどは、カネをばら撒いていないようなのだが、

「決してクリーンに決まったわけではありません。マクロン大統領には“明日は我が身”と忠告したい」

 パリ五輪の新種目は“ブーメラン”に決定か。

週刊新潮 2019年1月24日号掲載

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