“前回”は4分で終了… 5月1日「新天皇」が行う最初の儀式とは

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 時計の針が零時を指して、5月1日の始まりを告げると同時に、「平成」の時代は幕を閉じる。新元号が施行され、浩宮さまが「新天皇」に即位するという歴史的な5・1のドキュメントを、いち早くお届けしよう。

 モーニングに身を包んだ新天皇が、初めて公の場に姿を現すのは皇居・宮殿「松の間」。「松」「竹」「梅」の名がそれぞれ冠された宮殿の部屋で、最も格式の高い場所とされ、そこでの「剣璽等(けんじとう)承継の儀」が、新天皇にとって初めての国事行為となる。いったいどんな儀式なのだろうか。

 皇室担当記者に訊(き)くと、

「歴代天皇が継承してきた三種の神器(じんぎ)のうち、宮中三殿のうち賢所(かしこどころ)に祀られている『鏡』を除いた『剣』と『曲玉(まがたま)』、それに天皇の印章で法律の公布文や条約書に押される『御璽(ぎょじ)』と、日本国の印章『国璽(こくじ)』の引き継ぎが行われます。それらは新天皇が直に手にとらず、浩宮さまにお仕えしてきた東宮侍従が受け取る決まり。そうすることで、正式に天皇の侍従として認められるわけです。ちなみに昭和から平成に移る前回の儀式は、わずか4分で終わりました」

 見守るのは総理以下閣僚と立法府からは衆参両院の正副議長、さらに最高裁判所長官ら。いわば三権の長が勢揃いするのである。

 滞りなく終われば、新天皇は同じく皇居で行われる「即位後朝見(ちょうけん)の儀」に臨む。即位して初めて、公の場で民間人と接することになると言うのは、皇室ジャーナリストの神田秀一氏だ。

「新天皇が国民に直接語りかける、いわば“施政方針演説”を行いますが、拝聴するのは三権の長に加えて、招待された各界の有識者などの民間人なのです。園遊会の出席者が想定されますが、ノーベル賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)さんなど、時の人が呼ばれる可能性もあります」

 この二つの儀式を以て新天皇の最初の一日は終わる予定だが、「即位の礼」はまだ始まったばかり。少し間を置き、外国の元首などが招かれる10月22日の「即位礼正殿の儀」、五穀豊穣を祈る11月14、15日の「大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀」を終えて、晴れて真の天皇となるのだ。

「大嘗宮の儀では、報道陣も含めて外部の人間や宮内庁職員でさえ立ち会いが許されていない“秘儀”が夜間に行われます。前例を踏まえれば、今回もその仔細について国民が知ることはないでしょう」(先の記者)

“開かれた皇室”とはいえ、未だ御簾の向こうには知られざる伝統が息づく。

週刊新潮 2019年1月17日号掲載

特集「『御代替わり』7つの謎」より

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