「慶應」法vs.「早稲田」政経・法 “就職事情”に見るそれぞれのカラー
グローバルな人材
早稲田の法学部の説明はどうだろうか。
「1年生全員が履修する法律の導入ゼミ、外国語科目など、徹底的な少人数教育でコミュニケーション能力を高めることからスタートします。大教室の授業もありますが、スマートフォンを使って学習成果を確認するなど、講義形式のなかでアクティブラーニングの試みも始まっています。学年が上がってもゼミでは少人数教育を重視し、語学や教養科目もゼミ形式で専門的に学べる副専攻ゼミがあるのも、法学部の魅力です」
早稲田の政治経済学部については、教務主任の中村英俊准教授が説明する。
「早稲田では、政治学科が経済学科と同じ学部内にあるのが創立以来の特徴で、現在、PPE(Philosophy, Politics and Economics)という、哲学と政治学と経済学の三位一体のカリキュラムを通じてグローバルリテラシーを学び、事実に即して自分の行動を決められる力を育てようとしています。そのためにここ5年ほど、二つのことに取り組んでいます。一つは政治学と経済学のより本格的な融合です。今は政治学も経済学の手法を取り入れた研究が進んでいる。そこで両学科がある政経学部の良さを発揮できるプログラムを作りました。来年度から公共哲学や政治分析入門を経済学科でも必修にし、経済学科で必修のミクロ経済学入門とマクロ経済学入門を、政治学科でも必修にします」
ところで早稲田というと、OBには大教室での授業の印象が強いようだが、
「1年生が月曜に受ける政治分析入門は、大隈講堂で行う講義形式の授業ですが、木曜に、全員を20人前後のグループに分け、月曜の授業に関するディスカッションがセットで行われます」
様変わりしているようだ。さて、二つ目はなにか。
「英語学位プログラムです。2010年に定員30人で始め、16年度には100人に拡大しました。19年度からは、日本語学位プログラムとのハイブリッド化を進め、日本語学位で入学した学生が、留学前に英語開講の科目に挑戦することも可能です。こうした改革を通じて本当の意味でのグローバルな人材を育てたい。政治学と経済学を融合して学ぶことで、現状をデータに基づいて分析し、クリティカルに語れるようになれば、就職後も役立ちます」
英語学位プログラム・ディレクターのマリサ・ケラム准教授が補足する。
「英語学位プログラムも、基本的な考え方は政治と経済の融合。アメリカで政治学を教えた私の経験からも、統計、ゲーム理論、データ分析やプログラミングなどは、政治と経済を学ぶうえでの大切な知識になります。当学部では、今や英語学位、日本語学位の垣根なく、異なる文化や経験をもつ学生たちが同じ教室で学んでいます。学生たちはこのような環境で自ら学びとり、グローバル人材として育っていきます。教授陣をふくめ、異なる背景が教室に持ちこまれることこそ、国際的な教育環境の価値ある点だと思います。留学も推奨され、留学先で取得した単位が卒業要件にふくめられるので、留学しても4年で卒業することが可能です」
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