オマーン戦「頼みは大迫だけ」が露呈 次のウズベキスタン戦で試される森保監督の実力

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いつもの“決定力不足”

 ただ、決勝点を決めた原口自身、「結果に関しては良かったと思いますけど、内容はこのまま決勝トーナメントで勝ち上がっても、強いチームと当たった時は厳しくなると思います」と冷静に分析した。

 というのも、日本は前半立ち上がりから幾度となく決定機を迎えながらゴールを決めることができなかったからだ。

 前半7分、冨安健洋のヘッドによるクリアがオマーンDF陣の裏に抜け、走り込んだ南野はGKと1対1の絶好機を迎える。前半12分にも冨安のパスに南野が抜け出しシュート(これは右に外れる)。前半24分には遠藤航のカットによるスルーパスからまたも南野が抜け出しGKと1対1と、少なくとも2点は決められるチャンスがありながら、GKのファインプレーに阻まれた。

 この3つのビッグチャンスを含め、日本の攻撃陣が好転したもう1つの理由として、オマーンのサッカースタイルの変化が指摘できるだろう。中東のチーム(イランを除き)といえば、守備を固めてカウンターというのがこれまでの“常識”だった。

 ところがオマーンは、守備になると4-4-2のコンパクトでフラットな3ラインを保ち、最終ラインもペナルティーエリアから22メートルほど高い位置に設定した。オマーンを率いるオランダ人のピム・ファーベーク監督は、2002年の日韓W杯で韓国のコーチとして同国のベスト4進出にも貢献した。

 そのピム監督がJリーグで大宮アルディージャの監督を務めていたとき(98~99年)に採用したのが、今回オマーンが実践したコンパクトでフラットな3ラインによる守備だった。以前のオマーンなら、ゴール前に人数を割いて守りを固め、そこからのカウンターで日本を脅かした。しかしこの日は、パスをつなぎながらビルドアップするサッカーを指向したため、最終ラインとGKの間には広大なスペースが広がっていた。

 そこで冨安のヘッドや遠藤のスルーパスを始め、日本はDFラインからのロングパスで前半はオマーンを慌てさせた。加えて最終ラインのDF4人はフラットなゾーンディフェンスを採用していたため、日本の攻撃陣がポジションチェンジをするとフリーにしがちだった。

 彼らにとってみれば混乱のうちに終わった前半だっただろうが、それだけに日本は前半で試合を決定づける2点目、3点目が欲しかった。

 後半はオマーンも守備を修正して慎重な試合運びとなったことと、日本もリスクを冒して攻めなかったため、両チームとも決定的な場面を迎えることなく90分を終了。森保一監督は「選手は無失点で勝利できたことは評価したい」と話しつつ、「1-0から追加点を奪う、あるいは自分たちの時間を長くして点を奪えるよう、次の試合から改善いていきたいと思う」とウズベキスタン戦への抱負を述べた。

 すでに決勝トーナメント進出を決めている日本とウズベキスタン。1位通過か2位通過か。虚々実々の駆け引きを含め、指揮官の選手起用と采配が見物である。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

2019年1月14日掲載

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