「歯列矯正」を頑なに拒んだフレディ・マーキュリー “特別な理由”を歯科医師が解説

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こんな人は歯列矯正に向いていない

 日本と欧米では、歯に対する意識に大きな違いがある。日本では昔からアイドルの八重歯に対し「愛らしい」という評価がなされることがあるが、欧米で八重歯は「ドラキュラのよう」と言われ、不吉なものとしてみなされがちだ。そのため、欧米では6~7割程度の人が歯列矯正をするが、日本では2割以下とされ、矯正に抵抗感を持つ人が多い。実際のところ、歯列矯正に向いていない人もいるのではないだろうか。

「金属アレルギーの方は矯正治療のワイヤーでアレルギー反応が出ることがあります。特に加工しやすいという理由でワイヤーに使われているニッケルにアレルギー反応を起こす方がいますが、透明なプラスティック製のマウスピースを使うとアレルギー発症の心配はなくなります。また重度の歯周病の方は、矯正治療による歯へのダメージを考えると、歯周病の治療後に矯正治療を行うか、あるいは矯正治療は避けるほうが賢明かもしれません」

 歯列矯正というと、昔は「いかにも」という感じの金属製のワイヤーを歯に装着するのが一般的だったが、最近は歯列矯正の世界も技術の進歩が著しいようだ。

「私のクリニックでも扱っているインビザラインというマウスピース型の矯正装置は、厚みが薄く、色味は透明に近い装置なので、至近距離でも目立たず、矯正中であることが人に気づかれにくいのが大きな特徴です。食事や歯磨きのときは外しますが、装着していてもしゃべれますし、ワイヤーよりも虫歯になりにくいというメリットもあります。約1~2週間に1回マウスピースを交換して治療を進めます(通院間隔は1~2カ月に1回)。治療期間は1~2年ぐらいでワイヤーと同じくらいです」

 同施術の料金は、川崎氏の医院では55万円から85万円とそれなりの費用になり、もちろん健康保険の対象外だ。フレディがあえて歯列矯正をしなかったように、自分にとって歯列矯正が本当に必要かどうか、よく考えて受けるべきだろう。

取材・文/星野陽平(清談社)

週刊新潮WEB取材班

2019年1月13日掲載

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