日本人と韓国人は“双子の兄弟”“互いに劣等感”?元駐日韓国大使の発言に異議あり
「謝れ」は筋違い
柳氏はアメリカの生物地理学者を尊敬していて、その人物が日韓について書いている次の一節にいたく感激しているのである。
「韓国人と日本人は成長期を共にすごした双子の兄弟も同然だ」
政治学者のサミュエル・P・ハンティントン氏は「世界の文明には7種ある」と主張していたが90年代に中華文明に加えられていた日本を切り離して、日本は中華文明とは全く違って一国一文明とすると、文明の定義を変えた。
柳氏の認識では韓国と日本は共に中華文明に属していると見えるのだろう。しかしハンティントン氏は勇断を持って日本を中華文明から離した。「文明の衝突」を見た時、これまでの違和感はさっと消えた。納得した。
柳氏はなお「双子の兄弟」と同然だと実感しているなら、どこが同然なのか、似ているのかを示してもらいたい。
朴槿恵は大統領だった頃、米欧の国会で所信を陳述したが、陰に陽に日本の悪口を説教して回った。日本人なら他人に告げ口したり悪口を言うのは下の下の人物である。朴氏は告げ口の一事でリーダーとしての尊敬を失った。双子というからには恥の自覚は一致しているはずだ。柳氏も京大という最高学府に学んだからには「弁解せず」というのが、日本人の徳目の一つだとわかったはずだ。
韓国の艦艇が海上自衛隊の哨戒機に射撃用レーダーを照射した。韓国側は根も葉もないと全否定である。「間違いがあったかもしれない」程度なら、あと始末も可能だが、「根も葉もない」と突っ張ると、日本が嘘をついていることになってしまう。日本人はこういう時には相手の逃げ道を残しておくものだが、本気で怒れば、専門家が完全に理解するまで証拠を出し続けるだろう。そこまでの騒ぎになれば世界中は、日本側が正しいことを言っていると信ずるに至るだろう。
歴代、韓国大統領は、米国と中国の間に入ってバランスをとるバランサーの役を自任している。バランサーは双方から余程信用がなければ務まらない。あるいは強大な力を持っているかである。韓国にはこの双方が欠落している。これだけ無知なのはなぜだろう。
時刻が歩んできた歴史をきちんと認識し、改革すべき点をきっちり改革し続けてこそ進歩がある。
韓国はいま「朝鮮人戦時労働者」(徴用工と呼ぶのは間違い)の補償問題に明け暮れているが、誰か65年の日韓基本条約を正確に解説し、国民に正しい認識を伝える人物はいないのか。
65年に支払った5億ドルは、国民への弁償金から不払い賃金、日本に残してきた財産などすべて含んでいる。日本にあった日本企業がまだ支払っていなかった賃金も含んでいる。韓国最高裁は「個人の請求権はまだ残っている」との判決を出して、個人が当時の日本企業に賃金の残りか、社内預金を請求するようけしかけている。条約で解決した結果と違う判決を出すとは余程の後進国である。三権立法が確立しているならば、条約でケリがついた件について行政府に注文をつけるとは何ごとか。
内地で朝鮮人労働者を使った会社は1257社とされているが、まだ残っている会社は約300社だ。最高裁が「請求しろ」と言っても、潰れた約950社に勤めていた労働者は請求先がない。そこで残った300社から法外の金をとって、それを貯めて、貰えなかった人達に分けるという。こういうふざけた結論になるのは「65年の5億ドルですべて終り」という結論を否定したからだ。このまま、すったもんだの議論を続けると、慰安婦がそうだったように、当事者が死に絶えてしまう。それでも援護者と称する人達は残って「弁償、弁償」と騒ぐのだろうが、こういう所作は歴史を昔に引っ張り戻すことに他ならない。
柳氏によると、「安倍総理夫人が元慰安婦のハルモニに会いに行って親身になって話を聞く」とか「改めて慰労・お詫びをする」などすれば、日韓関係はすっきりする。「日本はここまでやってくれるのか」と涙を流して感激するのが韓国人気質だというのだ。「謝れ」ということ自体、筋違い。安倍首相が10億円をカタに「不可逆的解決」と決着したのは何だったのか。図々しいにもほどがある。
[2/3ページ]