広瀬すずの「ぐだぐだ」紅白司会と本当の問題点

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広瀬の「ぐだぐだ」司会ぶりに見える本当の問題点とは

 こうした司会力の違いは、単に松と広瀬の格の違い、とは言い切れない。その背景には、NHKの変化があると感じるからだ。1996年の紅白と比べるとわかるのが、カットが格段に増えているのである。昔の紅白では、歌手が歌っている時は、その歌手をひたすら映していた。正面と横からと、多少アングルが変わるくらいである。しかしここ最近の紅白は、歌っている最中でも司会や審査員席、他の出場者にやたらカットが切り替わる。ライブ感、ということかもしれないが、過去の紅白と比べるとその差は歴然としている。

 そうなると司会にせよ審査員にせよ他の出場者にせよ、自分の出番だけに集中するということができなくなる。思いもよらないタイミングで撮られた時、つまらなさそうな顔をしていると、すぐさま悪評が立つ時代である。事実、広瀬もいきものがかりの歌で会場が盛り上がる中、ひとり仏頂面でピアスを直す姿が映され批判を浴びた。でも進行に限らず衣装替えや、冒頭に挙げたお寒いコント、他出場者の盛り上げ役まで、求められることが多すぎるのだろうと、過去の紅白と見比べてやや気の毒にも思ったものだ。

 その負荷をカバーするために選ばれたのが、総合司会の内村光良なのだろう。あらゆる足かせを負いながらも時間内におさめるためには、ある種の強引さが不可欠だ。だからこそ、多少無茶な注文でも受け止めてくれる、自局の番組に長く出演していたことによる関係値と、どんな笑いにも対応できるコメディアンという出自が必要だったに違いない。櫻井翔と広瀬だけでは、紅白はまさに「ぐだぐだ」のまま終わったはずだ。

 だから思うのである。今回の広瀬の司会は、総じて青い。その青さも演じている、黒い部分も多少はあるだろう。しかしながら、そうしないと乗り切れない負担をNHKが負わせていたとも感じる。今の演出のまま行くならば、次の紅組司会は誰がやっても難しいだろう。本当の天然っぷりで強引に進めるタイプか、どんな役を振られても機転のきくタイプしかつとまらない。前者は綾瀬はるかがいたが、彼女の司会も評価が分かれていた。しかし後者となるとなかなかいない。指原莉乃や小島瑠璃子は当てはまるが、NHKが彼女たちを起用するかは疑問である。強いて言うなら松岡茉優あたりか、とも思う。まあ対応力はさておき、朝ドラ女優がやるという流れなのだろうけれど。さて、あなたの予想は誰だろうか。

(冨士海ネコ)

2019年1月9日掲載

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