「カメラを止めるな!」興収30億円分捕り合戦 製作ゼミ代表が明かす“内訳”
中国で昨年の夏、製作費126億円と喧伝された映画が、客の不入りで、公開わずか3日で打ち切られた。翻ってわが国では、製作費300万円ぽっちの映画が大ヒット。興行収入は30億円を超えた。
その映画「カメラを止めるな!」は、スターウォーズやら何やらとは全く異なる手法で製作費を調達した。
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製作は「ENBUゼミナール」。俳優や監督など映画・演劇人を養成する専門学校だ。その代表を務める市橋浩治氏(54)が語る。
「本校では、若手監督と世に出たい俳優による有料演技レッスンのワークショップを開催し、その成果が映画になります。『カメ止め』もそうやって作った作品の一つ。俳優12人から1人約14万円の受講料を頂いています」
つまり、俳優はギャラをもらうのではなく、逆にお金を払って映画に出させてもらうのだ。もっとも、それで賄えない分はクラウドファンディングで募り、それでも足りない分は学校が拠出するという。
低予算ゆえ、撮影場所は、
「本校の教室、監督の自宅、監督が使っているレンタルオフィスなど。主な舞台となった廃墟も無料で借りました。機材は、学校からも貸し出しますが、基本的には製作予算内で工面しなければなりません」
そうやって完成した作品は例年、新宿のミニシアターで1週間ほどイベント上映される。2017年製作の「カメ止め」も最初はここで上映され、好評を博したため、翌18年6月に都内2館で公開された。
「それを、大手配給会社であるアスミックさんの幹部の方が見てくれたらしく、電話が掛かってきました」
それからは、あれよあれよという間に全国に火がついた次第。上映館はのべ350館を超えた。
「興行収入は現在31億円。製作側に入るのはそのうちの約4割ですね」
つまり約12億円が製作側の儲けだ。残りは、さる映画記者によると、5割が劇場に、1割が配給元アスミック・エースに入っているという。
で、12億円の使い道は?
「これからは少し製作費を上げるかもしれません。ただ、億単位の製作費による商業映画を作りに行く気はないです。製作趣旨はあくまで人を育てる、世に出たい役者を応援する、ということですから」
自腹を切った出演者たちにボーナスは?
「出演者やスタッフには、それぞれの役割に対する追加報酬を払いました。金額は内緒ですけど、それなりの形で返せたかなと思います。監督には二次利用等の印税が今後支払われます」
まだ上映館があるので興収は上乗せが期待できる。DVDが発売され、ネット配信も始まった。Tシャツやトートバッグなどのグッズも売り出し、今後はフィギュアなどさまざまなものが企画されているというから、期待も財布も膨らむ一方である。もっとも、
「出演者の一番の目的は世に出ること。それが達成されたのが何よりです。フジテレビ系『痛快TVスカッとジャパン』のスタッフに気に入られていて、12人全員、再現VTRに出演しました。もともと事務所に入っていた人は数えるほどしかいなかったのに、映画がヒットしたおかげでさらに5人が事務所に入れました。監督にもオファーが殺到しているようです」
「カメラを止めるな!」で笑いも止まらない?