“刑務所だとは言いませんが…” 児童相談所に反対する「南青山」住人の言い分

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刑務所だとは言いませんが

 そして、「一番気になるのは……」とし、

「5年前に40億円かけて建てた三田の(子ども家庭支援センターなどの機能を持つ)施設をなぜ活用しないのか。とても立派なもので、港区全体の中心にあって交通の便がよく、両サイドに大病院があるのに。南青山の施設に100億もかけるなら、三田の施設を改修したり、廃校になった飯倉小学校を使ったりすればいいじゃないかという声もあるんですけど、港区は聞く耳を持ちません。いきなり“売り物の国有地があったから”って、それだけの理由でしょ。それじゃあ納得しませんよね。港区はもともと住民からアンケートを取り、専門家も入れて『まちづくりガイドライン』というのを作成し、これには区長もサインしています。その中身と今回の話がどういう風に繋がるのか尋ねていますけど、彼らは説明出来ないんですよ」

 更に、「簡単に言うとね」、と続ける。

「児童相談所の建設に反対している人たちは、南青山を“世界に発信し得る商用地だ”と考える人たちです。僕がこの会に関わったのも、そういう思いがあるから。新しいブランドでも、新しい文化でも、発信出来る街なんです。あれだけの空間があれば、発信したいと思っている人はいくらでもいますから、世界中から人が集まって来るんですよ。私は児童相談所の建設は街の発展の妨げになると思っていますよ。閉鎖的な空間ですから。あそこに保護される方々は、立場的には居ること自体を伏せなきゃならない。刑務所だとは言いませんが、裁判所とか警察署のような施設との共通点も多いと私は思っています」

 住人の声を拾ってみると、

「嫁の実家がこの辺で、結婚して30年以上になるけど。なんでこんな一等地にあんなバカでかいものをさ、よりにもよって作る必要があるのかっていうのはよくわからないよね。海岸(港区内の地名)とか他にも土地余ってるんじゃないの?」

 と副会長に一部同意しつつ、こんな思いも吐露する。

「バブル前の骨董通りなんて夜はホント真っ暗でさ。当たり前だよね、骨董屋は昼だけだから。それがバブルの跫音が聞こえてきて、豆腐屋が店畳んだりとかしてさ、生活しづらくなっていったわけ。反対派は“ランチが高くて、施設利用者は南青山に来てもひもじい思いをするだけ”とか言ってたけど、そういう地味だった頃のこと、知らないんじゃない? 青南小についても触れてたけど、公立だから慶應とかみたいに先生が特別に優秀ってことはない。で、生徒はどこかの私立に落ちて来るケースがままある。親の期待に応えられず、自分が悪いことしちゃったかなって思ってる子もいて可哀そうなんだよ」

(下)へつづく

2019年1月3・10日号掲載

特集「爪に火をともして『南青山』住人が『児童相談所』反対の言い分」より

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