“刑務所だとは言いませんが…” 児童相談所に反対する「南青山」住人の言い分

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「南青山」住人が「児童相談所」反対の言い分(上)

 東京・南青山に児童相談所を作る計画が持ち上がったものの、地元住民の一部が猛反発、世間の耳目を大いに集めている。爪に火をともすような節約をして土地を手に入れた住人の中には、「街の価値が下がる」とまで言うムキも。言い分を聞いて浮かび上がったものとは。

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 お笑い業界内の騒動で渦中の人となっている上沼恵美子は、NHKの長寿番組で“ナニワのヤング主婦代表”とあだ名された。「実家は大阪城で、金閣寺こうた(買った)時に……」などと、カネ持ち自慢をネタにしてきたのだ。もっともその中に、「ちくわ1本幾ら」とか庶民的な話題を差し挟んだりするところが、ヤング主婦代表たる所以だった。

 他方、南青山の主婦代表と思しき人物の発言もまた脚光を浴びている。港区が南青山に児 童相談所を建設することについて説明した折、大要こう述べたのだ。

「南青山で3児を育てる母親です。3人の子供を私立に入れるよりは青南小学校という意識の高い公立小学校へと決めて、億を超える投資をし、こちらに土地を買って家を建てました。日銀の社宅のエリアで、そういった良いお友達を作るためにも青南学区に住むっていう方がたくさんいらっしゃいます。スーパーは紀ノ国屋、ナチュラルマーケットで物価はとても高いです。子供は習い事や塾にもたくさん通っていて、レベルも高い。児相建設で土地の価値を下げないで頂きたい」

“ねぎ1本でも高級スーパーへ”といった物言いも出て、“ネットでこうた方が便利やん”と上沼恵美子でなくともツッコミそうなものだ。苦労し節約した日々や、子供の成長が頭に過った結果の発言だったのだろうが、南青山の主婦代表に選民意識と差別感情を見て取った一部は、南青山を“南ア”になぞらえて論難し、目下、社会問題化しつつある。

あるブランド企業からの依頼

 渦中の土地は、青山通りと骨董通りの交差点にほど近く、徒歩圏内にプラダ、グッチ、ドルチェ&ガッバーナ、コム・デ・ギャルソンといった世界に冠たるブランドが蝟集(いしゅう)する。

 児童虐待が右肩上がりで急増する中、2016年に児童福祉法が改正され、東京23区が独自に新たな児童相談所を作ることができるようになった。港区もこれに従う恰好で17年11月、農林水産省の官舎があった国有地・約千坪を約72億円で入手。建物に約32億円を費やし、21年4月の児童相談所開設を目指している。

 作家・林真理子は『南青山物語』で、バブル期のかの地を描写し、こう書いた。

〈南青山にある一軒家というのが、どんなにスゴイことか想像できるだろうか。(略)1坪2千万とか3千万とか言われている。(略)「私、いっぺんでいいから、あん中に入ってみたいわ」と言ったら、友人が声をかけてくれた。なんでも青山学院の裏手に友人が住んでいるという〉

 いまでも近隣は坪1200万円を付ける地域で、紛れもない超一等地だ。

 ともあれ、建設反対派の意見を聞いてみよう。「青山の未来を考える会」副会長・佐藤昌俊氏(63)は、

「私は芝公園にいるんですけど、南青山には昔からご縁がありましてね。古くは(高級時計の)フランク ミュラーの出店から。フランクにスイスまで会いに行って、自宅の工房にも入れてもらってね。東京で店をやることになった時、南青山に決まり、そうしたご縁からあの界隈の人達とはお付き合いがあるんです。また、実名は避けますけど、考える会の活動は、あるブランド企業からの依頼も受けているんです。最初に区役所の課長さんにお会いしたのは18年の8月でしたかね。説明は曖昧なもので、住民の皆さんは何が出来るのかもはっきりとは知らされていなかったんです。港区は“千坪規模の土地はここしかなかった”と言うので、今は具体的な比較検討資料を出して欲しいと要望しています」

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