「山一證券」破綻 公開されなかった“最終報告書”に消えた戦犯
東京湾にほど近い8階建てのビル、そこには、かつて山一證券の「ギョウカン(業務監理本部)」という組織が置かれていた。社内ではエリート部署ではなかったが、ある日を境に重要な役割を担うことになる。会社を破綻に追い込んだ原因を追及し、不正に関わった幹部もすべて調べ上げるという仕事だ。だが、その「最終報告書」が日の目を見ることはなかった。
「社員は悪くありませんから!」
野澤正平社長が涙の会見を開いたのは、1997年(平成9年)11月のこと。2600億円もの簿外債務が発覚した山一が、この日、自主廃業に追い込まれたのだ。...